2017年01月15日

ファルコン9 30号機 & SS-520 4号機

 スペースX社の衛星打ち上げロケット、ファルコン9の30号機がヴァンデンバーグ空軍基地から打ち上げられました。2016年9月にケープカナベラルの射点で試験中に爆発事故を起こしてから4ヶ月目の打ち上げ再開。遠い昔の出来事のようですが、4ヶ月しか経っていないことにびっくり。打ち上げは成功し、第1段の洋上での台船を用いた回収も成功しました。
 今回はロケットに搭載したオンボードカメラで着船までの中継に成功。実はファルコン9の第1段の着船をライブで見たのは初めてで、これは興奮しました。

 JAXAの観測ロケットSS-520を用いた超小型衛星打ち上げ実験は残念ながら失敗。
 2段ロケットのSS-520のペイロード(荷物)に軌道投入のための第3段と超小型衛星を搭載して衛星軌道に投入する予定でしたが、第1段の飛翔時にロケットからの通信が途絶え、第2段以降の飛行を中止しました。
# ロケットの状態が把握できないまま飛ばすのは安全上許されないため。

 これについてはsorae.jpの大貫さんの記事が分かりやすいです。
JAXA超小型ロケット「SS-520」、衛星軌道投入に失敗【解説あり】(sorae.jp)
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2016年07月07日

大西卓哉宇宙飛行士、宇宙へ

 JAXAの大西卓哉宇宙飛行士が国際宇宙ステーションへむけて旅立ちました。

 大西さんが搭乗したのはロシアのソユーズMS宇宙船。ソユーズ宇宙船の最新バージョンの初号機です。
 ソユーズ宇宙船は1967年に1号機が打ち上げられ(49年前!)、改良を加えながら現在に至るまで使用されています。
# ロケットは1957年のスプートニク1号以来、基本設計が同じものだったりします(もちろん随時改良)。

・ソユーズ(1967〜1981) 1〜50号 有人月飛行を目指して開発するも、地球周回軌道で運用。
・ソユーズT(1979〜1986)1〜15号 長期ミッション対応用に太陽電池大型化など。
・ソユーズTM(1986〜2002)1〜34号 ミールおよび国際宇宙ステーション(ISS)との往還を目的としたソユーズ。
・ソユーズTMA(2002〜2011)1〜22号 ISSとの往還用に設計変更。搭乗員の体格基準緩和。
・ソユーズTMA-M(2010〜2016)1〜20号 内部搭載機器をデジタル化。ペイロード増強。
・ソユーズMS(2016)1号〜 ドッキング装置や通信システムなどを改良。

 単純計算で142機ですが、中には無人テスト飛行もあり、初期には通し番号以外のテスト飛行もあったりします。
 1967年のソユーズ1号と1971年のソユーズ11号で人命喪失に繋がる事故を起こしていますが、その後はまずます安定した運用が行われ、事故はあっても切り抜け、信頼性の高い宇宙船と評価されています。

 と個人的な興味で宇宙船の話ばかり書いてしまいましたが、大西さんのミッションはこちらです。

大西卓哉宇宙飛行士>長期滞在概要(JAXA)
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2016年04月10日

国土交通省大阪航空局神戸航空衛星センター

 神戸市西区にある国土交通省大阪航空局神戸航空衛星センターのパラボラアンテナを見学してきました。
 神戸航空衛星センターは運輸多目的衛星「ひまわり6号(MTSAT-1R)」「ひまわり7号(MTSAT-2)」の運用に使われてきた施設です。

 「ひまわり」といえば気象衛星を思い浮かべますが、6号と7号は気象観測機器と航空管制機器を相乗りさせた衛星で(それゆえ気象衛星ではなく運輸多目的衛星)、神戸航空衛星センターでは航空管制ミッションの運用を行っています。
# 気象観測ミッションの地上局は埼玉県の鳩山町にあります。

 神戸航空衛星センターは1999年4月に発足しましたが、最初の仕事相手となるはずだった運輸多目的衛星1号(MTSAT-1)が同年11月に打ち上げ失敗。代替機の運輸多目的衛星新1号(MTSAT-1)、愛称「ひまわり6号」が2005年に打ち上げられるまで、ひたすら訓練の日々だったそうです。

 最寄り駅は神戸市営地下鉄の西神南駅。休日日中は30分に1本ほど、付近を通るバスがありますが、歩いても20〜30分ほど。
 近所にある施設なのに今まで行ったことがなかったのは、手軽というには微妙な距離感ゆえ。今回は明石の星の友の会の宇宙機ファン・@kittenblue0706さんと「関西には珍しい宇宙関連施設なので行ってみましょうか」と、何かの話のついでに思い立った次第。

 駅に着いたところで市バスがいたのですが、目的地を確認する間もなく出発されてしまいます。運転士さんに「パラボラアンテナ行きますか」と聞くわけにもいかず、付近の名のある施設を尋ねればよかったんですけれども、そこまでの下調べもなく。
 仕方がないので住宅地の中をえんえん歩きます。程よい季節でよかった。

 いぶきの森公園から室谷新池(室谷ダム)越しにパラボラアンテナを見ることが出来ます。
# いぶきの森はヴィッセル神戸の練習場でも知られていますが、公園の反対側の端なので注意!

 池の外周を回ると神戸航空衛星センターの敷地外周を回る道路(歩行者のみ通行可)に出ることができ、3機のパラボラアンテナを近くで見ることができます。
 施設の性格上、周囲には柵が張り巡らされ、監視カメラが柵沿いに何台も設置されていますが、こちらは周りから眺めるだけですから。

 3基のパラボラアンテナのうち、いちばん東側のものが、Sバンド(2〜4GHz)用。
 このアンテナだけ副鏡ステーが4本で、他の2基は副鏡ステーが3本と、正面から見てもつくりの違いに気づきます。
 裏面に回ると駆動系がとくに小ぶりなことに驚きます。通信相手が静止衛星なので大きな動きをする必要がないためです。拡大写真を見るとジャッキでEL軸(仰角方向)を動かす構造なのが分かります。

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2016年02月21日

日本の人工衛星のシリーズ名(前編)

 先日打ち上げられたX線天文衛星は、「ASTRO-H」の英語略称で呼ばれてきましたが、打ち上げ後に「ひとみ」という愛称がつけられました。似た目的の衛星では共通の英語略称が使われてシリーズ化しています。今回はその紹介。原則として、2機以上打ち上げが行われたものと、シリーズ化を想定していたと思われるものを掲載しています。

ASTROシリーズ(天文衛星)

英語略称 愛称 目的 質量 打ち上げ日 ロケット
ASTRO-A ひのとり 太陽観測衛星 188kg 1981.2.21 M-3S
ASTRO-B てんま X線天文衛星 216kg 1983.2.20 M-3S
ASTRO-C ぎんが X線天文衛星 420kg 1987.2.5 M-3SII
ASTRO-D あすか X線天文衛星 420kg 1993.2.20 M-3SII
ASTRO-E [打上失敗] X線天文衛星 1600kg 2000.2.10 M-V
ASTRO-EII すざく X線天文衛星 1700kg 2005.7.10 M-V
ASTRO-F あかり 赤外線天文衛星 952kg 2006.2.22 M-V
ASTRO-G [計画中止] 電波天文衛星 1.2t
ASTRO-H ひとみ X線天文衛星 2.7t 2016.2.17 H-IIA

 「Astronomy Satelite」。直訳するとそのまま天文衛星。再打ち上げした「E」の重複を除くと、AからHの8機のうち、実に5機がX線観測衛星で、太陽観測衛星の「ASTRO-A『ひのとり』」もX線観測が主目的です。X線は大気に遮られて地上に届かないため、天体からのX線を観測するには宇宙空間に出る必要があり、このための衛星が古くから日本の得意分野でした。ロケットが大きくなるのに合わせて、衛星も大型化しているのが分かります。次に計画されている天文衛星は「ASTRO-F『あかり』」の後継となる赤外線望遠鏡「SPICA」で2027-28年度にHIIIロケットでの打ち上げという、先の長い計画です。

CORSA(X線天文衛星)

英語略称 愛称 目的 質量 打ち上げ日 ロケット
CORSA [打上失敗] X線天文衛星 96kg 1976.2.4 M-3C
CORSA-b はくちょう X線天文衛星 96kg 1979.2.21 M-3C

 「Cosmic Radiation Satelite」で、直訳すると「宇宙線衛星」となります。失敗して代替機を上げましたが、この頃の衛星は1機ごとに名前をつけていたので、シリーズとするにはちょっと微妙。

 世界初のX線天文衛星はNASAが1970年に上げた「ウフル」で、日本の小田稔が開発した「すだれコリメーター」を搭載して成果を上げました。その後、日本は独自のX線観測衛星を開発・運用するようになり、「CORSA」を経て「ASTRO」シリーズに繋がっていきます。

SOLARシリーズ(太陽観測衛星)

英語略称 愛称 目的 質量 打ち上げ日 ロケット
SOLAR-A ようこう 太陽観測衛星 390kg 1991.8.30 M-3SII
SOLAR-B ひので 太陽観測衛星 900kg 2006.9.23 M-V

 「Solar Physics Satelite」直訳すると「太陽物理学衛星」となります。太陽観測衛星としては「ASTRO-A『ひのとり』」がありますが、後継機は新しいシリーズになりました。「ようこう」は10年間に渡って観測を続けたご長寿衛星。現在運用中の「すざく」も2016年で運用10年目を迎えます。後継の「SOLAR-C」「SOLAR-D」ミッションの検討も始まっています。

LUNARシリーズ(月探査機)

英語略称 愛称 目的 質量 打ち上げ日 ロケット
LUNAR-A [計画中止] 月探査機 540kg M-V

 日本初の月探査ミッションとなる予定だった計画。衛星本体は完成したのですが、計画の主要部である月面に撃ちこむ地震計の開発に手間取り、中止のやむなきに至りました。日本の月探査はその後、2007年に「SELENE『かぐや』」が打ち上げられています。「A」があるなら「B」以降も計画するつもりだったと思うのですが、現在のところ後継機はありません。

PLANETシリーズ(惑星探査機)

英語略称 愛称 目的 質量 打ち上げ日 ロケット
PLANET-A すいせい ハレー彗星探査機 140kg 1985.8.19 M-3SII
PLANET-B のぞみ 火星探査機 540kg 1998.7.4 M-V
PLANET-C あかつき 金星探査機 518kg 2010.5.21 H-IIA

 地球圏の外に出る惑星探査機は「PLANET」の名称です。「PLANET-B『のぞみ』」は数々のトラブルの末に火星周回軌道投入を断念、「PLANET-C『あかつき』」も当初の予定での金星周回軌道投入に失敗し、5年後の再挑戦でようやく成功するなど、惑星探査という新しい地平に乗り込む産みの苦しみを味わっています。

 「はやぶさ2」もここに入りそうですが、計画段階から「HAYABUSA2」で、そのまま愛称も「はやぶさ2」になりました。他に欧州と合同の水星探査機ベピ・コロンボ計画(2016年度に欧州のアリアン5ロケットで打ち上げ予定)がありますが、PLANETシリーズには入っていません。そしてその次の計画は……どうするのでしょう。

EXOSシリーズ

英語略称 愛称 目的 質量 打ち上げ日 ロケット
EXOS-A きょっこう オーロラ観測衛星 126kg 1978.2.4 M-3H
EXOS-B じきけん 磁気圏観測衛星 90kg 1978.9.16 M-3H
EXOS-C おおぞら 中層大気観測衛星 207kg 1984.2.14 M-3S
EXOS-D あけぼの 磁気圏観測衛星 295kg 1989.2.22 M-3SII

 「Exospheric Satelite」。"exosphere"は「外気圏」で大気圏の最も外側の高度800〜約10,000kmの層。一般的には宇宙空間に当たる領域です。宇宙と地球の影響が相互にせめぎあう領域で、その観測を行う衛星のシリーズです。「EXOS-D『あけぼの』」は26年間も運用を続けた日本屈指のご長寿衛星。磁気圏観測衛星では1992年にNASAと共同開発・運用している「ジオテイル」(1992年に米のデルタIIロケットで打ち上げ)が現在も稼働中で、次のジオスペース探査衛星「ERG」が2016年打ち上げ(イプシロンロケット使用)を目指して開発中。「EXOS」の名称はもう使わないかもしれません。

MS-Fシリーズ(科学衛星)

英語略称 愛称 目的 質量 打ち上げ日 ロケット
MS-F1 [打上失敗] 科学衛星 66kg 1970.9.25 M-4S
MS-F2 しんせい 科学衛星 66kg 1971.9.28 M-4S

 MS-Fは「Mu Satellite -F(Flight model)」で、ミューロケットで打ち上げる衛星の意。日本初の人工衛星「おおすみ」の成功の次に、新型ロケット「M-4S」で打ち上げられたのが科学衛星「MS-F1」ですが、ロケット側が失敗。このあとミューロケットの新型には試験衛星の「MS-T」シリーズが積まれることになります。「MS-T1『たんせい』」の成功を受けて、改めて「MS-F2『しんせい』」が打ち上げられました。この後の科学衛星はそれぞれに名称が付けられたため、「MS-F」シリーズは実質1機で打ち止めとなります。

MS-Tシリーズ(試験衛星)

英語略称 愛称 目的 質量 打ち上げ日 ロケット
MS-T1 たんせい 試験衛星 63kg 1971.2.16 M-4S
MS-T2 たんせい2号 試験衛星 56kg 1974.2.16 M-3C
MS-T3 たんせい3号 試験衛星 129kg 1977.2.19 M-3H
MS-T4 たんせい4号 試験衛星 185kg 1980.2.17 M-3S
MS-T5 さきがけ ハレー彗星探査試験機 138kg 1985.1.8 M-3SII

 MS-Tは「Mu Satellite -T(Test model)」で、ミューロケットで打ち上げる試験衛星の意。ミューロケットの新型機が開発される度に、性能試験を兼ねて打ち上げられたもの。1号機が失敗したM-4Sの2号機と、M-3CからM-3SIIまでの1号機に積まれたのは全てMS-Tです。中でも「MS-T5『さきがけ』」は「PLANET-A『すいせい』」と姉妹機で、日本初の人工惑星となり、ともにハレー彗星探査で成果を上げました。

MUSESシリーズ(工学実験衛星)

英語略称 愛称 目的 質量 打ち上げ日 ロケット
MUSES-A ひてん 工学実験衛星 197kg 1990.1.24 M-3SII
MUSES-B はるか 電波天文観測衛星 830kg 1997.2.12 M-V
MUSES-C はやぶさ 小惑星探査機 510kg 2003.5.9 M-V

 MUSESは「Mu Space Engineering Satellite」で、ミューロケットで打ち上げる宇宙工学衛星の意で知恵の女神のミューゼスをかけています。「MUSES-A『ひてん』」ではスイングバイ飛行技術を獲得し、その後の惑星探査機の運用に活かされています。「MUSES-B『はるか』」は宇宙電波望遠鏡で、地上の電波望遠鏡と協調して巨大な干渉計を構築、高分解能の天体観測を行いました。この成果を活かすのが「ASTRO-G」でしたが、電波望遠鏡の鏡面精度が確保できずに中止となりました。「MUSES-C『はやぶさ』」はトラブルを乗り越えて小惑星からのサンプルリターンを成功させましたが、実は試験衛星の位置付けで、現在進行中の「HAYABUSA2『はやぶさ2』」こそが本番の小惑星探査機です。

 表には上げていませんが、ソーラーセイル実験衛星「IKAROS」はもともと「MUSES-D」として計画されていました。「ASTRO-G」との競争で道を譲ったのですが、「PLANET-C『あかつき』」の副衛星として急遽、計画を組み直されて、大成功を収めました。衛星万事塞翁が馬。M-Vが廃止された後、後継ロケットは「イプシロン」となったので、「ミュー」を冠した「MS-T」も「MUSES」も使わない名前になるかと思います。

SPRINTシリーズ(小型科学衛星)

英語略称 愛称 目的 質量 打ち上げ日 ロケット
SPRINT-A ひさき 惑星分光観測衛星 335kg 2013.9.14 イプシロン
SPRINT-B/ERG [計画中] ジオスペース探査衛星 350kg イプシロン

 SPRINTは「Small scientific satellite Platform for Rapid Investigation and Test」で、直訳すると、迅速な調査・試験のための小型科学衛星プラットフォーム(基盤)となります。ロケットの性能向上とともに衛星も大型化して多くの観測機器を積めるようになったのですが、反面、開発に時間がかかり、打ち上げ頻度が減り、失敗を避けるためにも最新の技術を投入しにくくなってきました。以前に比べると小型の観測機器でも成果を上げることが可能になってきたため、小型の衛星構体を用いて、低コストで高頻度に目的を絞ったミッションの衛星を打ち上げていくものです。

 イプシロンロケットの1号機で打ち上げられた「SPRINT-A『ひさき』」が最初で、現在はジオスペース探査衛星「SPRINT-B/ERG」の準備が進んでいます。最近は公式パンフレットでも「SPRINT-B」が消えて「ERG」の名称が表に出ているので、このシリーズ名もどうなることやら。

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2016年02月17日

ASTRO-H「ひとみ」打ち上げ成功

 まずは無事の打ち上げ、おめでとうございます。
 夕方の打ち上げで、遠くは関東でも上昇するH-IIAの姿を見ることができたようです(今回に関しては、東日本のほうが日没が早いぶん背景の空が暗くなって有利)。また一周した時に恐らく第二段からの残存燃料の排出と思われるガス雲も観測されています。

 私は両方見逃しました(打ち上げは仕事中、一周時は電車の中)。残念ですが仕方ありません。

 夜に見たNHKのニュースでは、SRB-A分離時にSRB-Aの形まで分かる鮮明さ。JAXAのYouTube動画ではフェアリングの分離まで見えています。これは素晴らしい好条件。

 「ひとみ」と名付けられたASTRO-H衛星も太陽電池パドルの展開までは成功した旨、発表されています。人工衛星は電気がないと動かないので、まずは第一関門突破。このあと順次、観測機器を立ち上げて試験して、本観測に入っていきます。むしろ本番はこれからです。

 歴代のX線天文衛星は、「はくちょう」「てんま」「ぎんが」「あすか」「すざく」と、空にちなんだもの、特に鳥に関わる名前が多かったので、「ひとみ」という愛称は意外でした。
 実は東大中須賀研究室で開発した超小型人工衛星PRISMに「ひとみ」の愛称が使われていて、わざわざ被る名前を持ってきたか、という感じ。先方の了解は得ているそうですが、そこまでして名付けるからには相当な思い入れをお持ちなでしょう。
 最近は大学で開発した超小型人工衛星もどんどん上がっているので、このように使いやすい名前が重なるケースも珍しくなくなるのかもしれません。それだけ宇宙空間の利用が身近になりつつあるということかも。
# 仙台市天文台の1.3m望遠鏡の愛称も「ひとみ」だそうです。
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2016年02月08日

北の国のあれ

1998年8月31日 2009年4月5日 2012年4月8日 2012年12月12日 2016年2月7日
衛星名 光明星1号 光明星2号 光明星3号1号機 光明星3号2号機 光明星4号
ロケット名 白頭山1
(テポドン1)
銀河2
(テポドン2改)
銀河3 銀河3 光明星
(銀河3と同型)
射点 舞水端里(東海岸) 舞水端里(東海岸) 東倉里(西海岸) 東倉里(西海岸) 東倉里(西海岸)
打ち上げ方角
(太陽同期軌道)

(太陽同期軌道)

(太陽同期軌道)
軌道投入 失敗
(NORAD未確認
/軌道速度未到達)
失敗
(NORAD未確認
/軌道速度未到達)
失敗
(打ち上げ後に空中分解)
成功
(NORAD確認)
成功
(NORAD確認)
衛星電波 未受信 未受信 未受信 未受信 未受信
(2月8日現在)

 覚え書き。出典はWikipedia。4回めでやっと人工衛星になって、今回が軌道に乗った2つめ。ただし人工衛星が発信するはずの電波は確認されてない。ということで、軌道に乗ったのはアメリカのレーダーで確認(自国で確認取れてるのかな?)。

〈参考〉
宇宙クラスタ・軍事クラスタによる北朝鮮衛星打ち上げの分析のまとめ(togetter)
事実上のミサイル?北朝鮮のロケットとミサイルの違いは(sorae.jp)

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2015年12月09日

あかつき金星軌道豆乳鍋

 12月7日に金星周回軌道への投入が行われた「あかつき」ですが、9日に軌道投入成功の発表がありました。
 減速噴射が成功していたので、軌道投入もほぼ確実視されていましたが、継続して探査機の軌道を観測して、改めての成功発表です。

 記者会見の中で出てきたエピソード。あかつきプロジェクトサイエンティスト廣瀬史子さんの夫、あかつき金星軌道投入の前夜に豆乳鍋をつくられたそうです。

 というわけで、乗ってみました。豆乳鍋は生まれて初めてつくったよ。
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2015年12月07日

再び、とどけ「あかつき」

 金星探査機「あかつき」が5年ぶりに金星周回軌道への投入に挑戦、エンジンの噴射が予定通りに行われたことが確認されました。予定の軌道に入ったかどうかの確認は数日を要しますが、おそらく大丈夫だと思います。

 「あかつき」は2010年5月21日に種子島宇宙センターから打ち上げ。同年12月7日に金星周回軌道へ投入される予定でした。地球から金星に向かって飛行したあかつきは、金星に近付いたところでメインエンジンを逆噴射。いわばブレーキを掛けて金星の重力に捕まえてもう予定でした。
 が、逆噴射中にメインエンジンが故障。ブレーキを掛けきれずに金星を通過してしまいます。

とどけ、「あかつき」(2010年12月07日)
「あかつき」続報(2010年12月08日)

 金星よりわずかに太陽に近いところを回る「人工惑星」となってしまったあかつき。次に金星に近づくのは6年後の2016年ですが、探査機の設計寿命は4年。設計より強い太陽光と熱にさらされ続けますが、姿勢を工夫して機器の温存を図ります。

 メインエンジン故障の原因はバルブのトラブルから異常燃焼が起きたためと推定されました。試運転の指令を送りますが、まるでパワーが出ず、今後の使用は無理と判断されました。

 このため姿勢制御用の小さなエンジンを用いての金星周回軌道投入を計画。
 ただし探査機の向きを変えるためのエンジンですから、ブレーキとしての力は弱いもの。少しでも本体を身軽にするために、メインエンジンの酸化剤は投棄されました。
 また金星再接近を少しでも早めるために、姿勢制御用のエンジンを吹かして軌道を変更し、再接近の時期は2015年末に調整されました。

 そして2015年12月7日、奇しくも5年前の金星周回軌道投入と同じ日。
 金星に最も近付いたタイミングで姿勢制御用エンジンを20分間噴射。

 地球に届いたデータは、今回は噴射が正常に行われたことを示していました。予定の軌道に入ったかどうかの確認は数日間の追跡調査が必要ですが、たぶん大丈夫。

 軌道とエンジンと燃料の制約から当初予定の周回軌道への投入は叶いませんが、すでに新しい周回軌道での観測計画は練りに練りまくられています。なにせ5年もこの時を待ったのです。

 あかつきの本番はむしろこれから。ワクワクするデータをたくさん地球に届けてほしいものです。
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2015年08月19日

こうのとり5号機打ち上げ

 8月16日に予定されていた打ち上げが天候不良で延期されて今日になりました。
 打ち上げ時刻は少し早まって20時50分。これはISSの軌道面に合わせるためです。

 H-IIA/H-IIB系列の打ち上げは安心して見ていられるものになりました。もちろん関わってる方々は毎回毎回が一発勝負なので気の抜ける所はないと思うのですが、最近は天候以外の延期はほとんどないように思います。

 今回は自宅でネット中継を見ていました。
 次はJAXAの中継(録画)へのリンク。打ち上げ30秒前のウォーターカーテン散水開始のところから。
 https://youtu.be/cLj49lfg1Ik?t=59m50s

 ちなみに「こうのとり」のペーパークラフトは海外のペパクラビルダーが型紙を作られています。
 http://www.axmpaperspacescalemodels.com/HTVmissions.html
 1号機から4号機まで細部を作り分けるこだわりぶり。そのうち5号機の型紙もリリースされると思います。
 スケールは基本1/100。1〜3号機は1/144も用意されています。
# 明石市立天文科学館に展示している1/25「こうのとり」ペーパークラフトはこれを原型にしています。原型をとどめていないほど追加工作しましたけど、原型あっての模型。

 H-IIBロケットは国内のペパクラビルダーお二人の型紙。
 難易度低目で作りやすさ重視の「ぱっくん航空隊」さんのモデル。スケールは1/100。
 http://www.geocities.jp/kurukurupackn/dwn.htm
 精細ながら精度もよく組み立てやすい「稲田写場」さんのモデル。スケールは1/150。
 http://inadaphoto.web.fc2.com/cuttysark/paper/h2b/h2b.html

 ISTSの宇宙博で中川義通さんが出展されていたのは、ぱっくん航空隊さんのモデルをディティールアップしたもの。私が作成して明石市立天文科学館に展示しているのは稲田写場さんのモデルを1/100に拡大したものです(特別展「紙の宇宙博」ではISSと同じケースに入っています)。
 「紙の宇宙博」では種子島の崎田さんのモデル(さらに超精細)も展示されています。こちらは日本の宇宙開発のコーナー。

 というわけで、後半は明石市立天文科学館「紙の宇宙博2015」の宣伝でした。
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2015年04月15日

ロケットの名前と星座名

 備忘録。使う機会があるかどうか分かりませんが。

ESA(欧州宇宙機構)
[アリアンスペース]

アリアン(Ariane)=クレタ島の王女アリアドネ(Ariadne)の仏語読み。かんむり座の冠の持ち主。衛星打ち上げロケット。
ベガ(Vega)=こと座α星。小型衛星打ち上げロケット。

アメリカ
[ULA]

アトラス(Atrus)=ティーターン神(ヘルクレス座・りゅう座の神話)。衛星打ち上げロケット。
セントール(Centaur)=半人半馬ケンタウルスの英語読み。アトラスロケットの上段ロケット。

[オービタルATK]
ペガサス(Pegasus)=小型衛星打ち上げ用の空中発射ロケット。
ミノトール(Minotaur)=牛頭人身の怪物ミノタウルスの英語読み(かんむり座の神話)。小型衛星打ち上げロケット。
トーラス(Taurus)=おうし座の英語読み。小型衛星打ち上げロケット。
シグナス補給船(Cygnus)=はくちょう座の英語読み。ISSの無人補給船
アンタレス(Antares)=さそり座α星アンタレス。シグナス補給船の打ち上げ用ロケット。
キャスター(Castor)=ふたご座α星カストルの英語読み。デルタIIやトーラスで使用される固体ロケットブースタ。

[ロッキード・マーチン]
オライオン宇宙船(Orion)=オリオンの英語読み。開発中(試験機のみ飛行)の宇宙船。

 オリオンが英語読みでオライオンになるのは知っていましたが、キャスターがカストルなのはびっくりでした。ついつい台車の小さい車輪のキャスターを思い浮かべていましたが、車輪の方は"Caster"なので、綴りが違うのでした。
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