2025年11月02日

正倉院正倉特別公開

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 東大寺の一角にある正倉院。聖武天皇の遺品を中心に、奈良時代から伝わる宝物や文書を保存してきました。明治以降は東大寺の手を離れ、現在は宮内庁の所管になっています。
 中の宝物は昭和に建てられた空調完備の鉄筋コンクリートの倉庫に移され、校倉造りで知られる元からの正倉は倉庫としての役割を終えています。宮内庁管轄で文化財指定は受けていませんでしたが、1997年に国宝指定されました。

 実は正倉院、平日の日中なら敷地に入って、正倉の建物の正面から20mほどの場所で見学できます。ただ平日限定なので務め人にはなかなか難しく、私も過去に一度だけ敷地内から見学したことがあるだけです。

20251102shosoin174.jpg 2025年の11月1〜3日の間、正倉をぐるりと一回りして見学できる特別公開が行われました。普段よりぐっと近くで、かつ正倉の背面まで回って見ることが出来る機会ということで、足を運んできました。
 前の週末に正倉院展を見てきたばかりで、もっと早く日程を公開してくれていたなら合わせて旅程を組んだのですけど、仕方ありません。2週続けての奈良通いです。

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 公開は朝の10時から。実は9時半スタートと勘違いしていて、列が動き始めた後に行けば並ぶ時間を節約できるかなと9時40分頃に着いたのですが、ちょうど開場前に列が伸びていくタイミングになってしまいました。
 パッと見で150mくらい待機列が出来ていて、このあとも後ろにぐんぐん列が伸びていきます。たぶん300mくらい伸びたのではなかろうか。もっとも東大寺の境内は広大なので、並ぶ場所に不足はありません。

20251102shosoin021.jpg 予定を早めて開場し、10時前に列が動き出します。手荷物検査は皇宮警察の担当で、日常生活では接点のない職務の方々です。ポケットの多いリュックを担いでいて、全てのポケットを開けて確認されたので、他の人よりちょっと時間がかかりました。

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 正倉院の敷地に入ってしまえば、人は多いものの、見学対象の正倉が巨大なので、建物そのものはじっくり見ることが出来ます。

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 遠目には気付きにくいのですが、正倉の建物は巨大です。
 床下だけで人が余裕で立って歩ける2.7mの高さがあります。今回は扉は閉じたままですが、蔵の中も二層になっていて、屋根も普通の民家なら2階建て分の高さはあるので、全体で5階建てくらいの高さがあります。
 外観は単層の建物で、周囲に比較対象がないので、この大きさは近くに寄って改めて実感したこと。

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 そして校倉造りの木材も巨大。校倉造りはいわばログハウスのようなものですが、とにかく一本ごとの木材が太さ30cmほどもある巨大なもの。これだけの木材が国内で調達できる時代だったのですね。
 東大寺三月堂の南側にある手向山八幡宮の宝庫や、唐招提寺の宝蔵や経蔵など、校倉造りの建物は他にもありますが、正倉院正倉は群を抜いた大きさです。

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 見学時の注意書きに「床下は入れません」とあり、なんぼなんでも床下に潜り込む物好きはいないだろうと思っていたのですが、そもそも立ったまま余裕で歩ける高さがあるのでした。高床式は伊達じゃない。
 柱の箍(たが)は1693(元禄6)年の徳川綱吉の修理で付けられたもの。校倉の下部から突き出た部材の先端を銅板で巻いたのも綱吉の修理だそうです。徳川将軍家は割と東大寺を大切に扱っているんですよね。
 柱の礎石は三笠山の安山岩だそうで、柱が載る部分は礎石を平らにするのではなく、柱を石に合わせて削っているそうです。

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2025年11月01日

山陽鉄道フェスティバル2025

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 山陽電車の東二見車両基地の一般公開イベントの「山陽鉄道フェスティバル」。14年ぶりくらいに足を運びました。
 実は15時終了なのを失念していて(16時くらいまでやってるのかと思い込んでいました)、会場に着いたのが14時45分。もう駅から東二見車庫まで帰りの人とすれ違いまくりで、門をくぐって5分もしないうちに「蛍の光」が流れ始める始末。一回りササッと回るだけでした。
 いちおう車両基地っぽい写真で、1枚目は線路に乗る車輪が付いた脚立。竹梯子の看板があったような気がするのだけど、この脚立ではなかったみたい。
 2枚目は工場で車両を1両ずつ横移動させるトラバーサ。

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 1枚目は最新の6000系車両のトップナンバー車。
 2枚目は大ベテランの3000系(リニューアル済)と、左の奥にこちらもベテランの域に入った5000系。5000系はトップナンバー車ですね。奥の方に阪神電車が紛れ込んでいます。

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 なにゆえ山電の車両基地のイベントに出かけたのかというと、なぜか明石市立天文科学館が出展しているのでした。車両工場の中で膨らませた移動式プラネタリウムのエアドームとかシュールな眺め。もちろんこの日の投影は終わっていました。

 テントにいらした科学館のみなさんに挨拶したら、井上館長に捕獲されて、対話しながら駄洒落をつくってきました。「対話と共創」がテーマなんですって。わけが分かりません。
 ということで、滞在15分の山陽鉄道フェスティバル2025、マジで駄洒落をつくりに行っただけでした。
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2025年09月15日

大阪・関西万博(9月15日)

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 大阪・関西万博。7月に行ったときはこれで最後と思っていたのですが、ふいに「あと一回くらい見とくか」と思い立ちました。

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 仕事がやや忙しめで有休を取りにくく、とはいえ今は平日も混んでいるから無理に調整する必要もない。既に入ってる予定とにらめっこして、7日前予約は終わっていましたが、三連休最終日の9月15日の夢洲上陸を計画(これが9月11日)。
 
 この時点で土日は満席が出始めていて、黄色い表示も90%以上という話。枠の追加やキャンセルが出るのか、15日17時枠は黄色いうちに購入できました。とはいえチケットを買うだけで「順番にご案内しています」の案内が出るのには慄きました。

20250915expo_018.jpg もはや朝イチにゲートを目指す気力はありません。
 以前は神戸発の神姫バスEXPO号始発で朝イチに西ゲートの前の方に並べたのですが、今は始発前にタクシーで向かう人や、隣の舞洲から徒歩で歩いてくる人たちもいるそうで、とてもとても張り合えません。
 空きのあった東ゲート枠で夜間券を購入し、桜島駅シャトルバスを押さえた上で、後から西ゲート枠に変更。
# 前2回が空いている日だったので、見たかったものは概ね見ていたというのはあります。

15:18 西ゲート着(桜島駅シャトルバス)
16:11 西ゲート入場
17:10 バーレーン館入館(30分待ち)
18:07 マルタ館入館(35分待ち)
18:59 エキスポワッセで休憩
19:25 チリ館入館(15分待ち)
19:45 コモンズB入館
20:08 静けさの庭(ヒスイ原石見学)
20:15 国際機関館入館
20:31 ポルトガル館入館
20:47 大屋根リングに登って噴水の後半とドローンショー見学
21:20 東ゲート近辺のパビリオン外観見学
21:57 西ゲート退出
22:35 桜島駅シャトルバス乗車

 3日前予約は全く取れず、当日予約も「エラー!」頻発で全く取れませんでした(18時までは頑張ったけどその後は諦めた)。当日予約はスマホとにらめっこしてリロードしまくれば何とかなるかもしれないのですが、私の性格的にそれは無理。現地にいるならスマホの画面より周りの景色を見ていたくなっちゃう。

 とはいえ、会場を散歩するだけでいいかと思ってた割には、まぁまぁあちこち見学してきました。

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2025年07月30日

数字で斜め読む大阪・関西万博

EXPO2025 大阪・関西万博 来場者数カウンター
https://www.expo-visitors-counter.com/
   2025年6月29日〜7月5日 789,502(AD証入場者数を除いた一般入場者数)
   2025年7月6日〜7月12日 796,416
   2025年7月13日〜7月19日 810,365
   2025年7月20日〜7月26日 872,210
 夏休みに入ったら入場者数が増えて大混雑と思われていた万博ですが……夏休みに入った7月第4週は微増に留まった印象。
 あまりの暑さに客足が伸びないという話も、真面目にそうかもしれません。

過去の気象データ検索|気象庁
https://www.data.jma.go.jp/stats/etrn/index.php
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 1985年のつくば博の夏はそんなに暑かったっけ、と気象庁の過去の気象データを引っ張り出しました(7月30日以降の大阪は2024年のデータ)。梅雨明け時期の差もありますが、7月前半まで1985年のつくばの最高気温と2025年の大阪の最低気温がいい勝負(?)をしています。
 もう一つ、1985年のつくばは盛夏でも最高気温が35度を超えた日が一日もありません。そしてつくばは最低気温が低いぶん、一日のうちで高温の時間帯が短い。海辺の大阪は最低気温が下がらないので、この点もつらい。

熱中症特別警戒アラート・熱中症警戒アラートの発表状況|環境省
https://www.wbgt.env.go.jp/alert.php

 2025年の大阪府は7月28日まで熱中症警戒アラートの発表が「0」でした。万博のために発表を控えてるのではないかという噂もありましたが、7月29日についに大阪府でも発表、30日も2日連続の発表となっています。

西暦 21 22 23 24 25('25年は7/30まで)
大阪 01 13 19 30 02
兵庫 11 25 31 58 24
京都 12 20 29 33 16

 もともと大阪は熱中症警戒アラートの発令が少ないところで、隣の兵庫・京都と比べてもご覧の通り。府県単位での発表なので、例えば神戸市や大阪市という都市単位の実感と合わないところはあります。

パビリオン・イベント予約の最新状況について
https://www.expo2025.or.jp/news/news-20250625-02/

 博覧会協会が公開している「パビリオン・イベント予約の最新状況について(7月20日現在)」に各パビリオンの予約枠が出ているのですが、そもそもの枠が多くない。7日前予約の枠を単純に最大値("以上""未満"を問わず出ている数字の大きいところ)で足しても17,400で、10万人を越える一日の入場者数よりはるかに少ない。1日分の総枠を最大値で足しても106,000ですから、やはり足りない。
 入場者全員に枠を用意できないのに「並ばない万博」を喧伝していたのだから、不満が出るのも止むなし。

 現地で整理券を配ることに比べると、ネットで予約の方が優れている面もあります。現地で先着順の配布だと走り回る体力のある人が有利ですが、オンラインなら体力のない人にもチャンスがあります。

 パビリオンによっては朝一番にその日の枠を全て開放せず、時間をずらして少しずつ解放するところもあります。ただ博覧会協会で集約していないので、自分で調べる必要があり、一見さんにはハードルが高い。
# つくば博では案内所でパビリオンの整理券配布時刻の一覧を配っていました。

今後4週間の会場混雑予想と来場予約枠の空き状況(ページ下の方)
https://www.expo2025.or.jp/news/daily/

 客足とは別に開場前のゲートの混雑は日に日に増しているようです。朝イチの入場は当日予約枠を取りやすいのと、予約なしで入れるパビリオンに早く並べるのと、二重にメリットがあるからです。
 とはいえ、入場日時も予約する必要があり、朝イチの9時台枠は一ヶ月先までほぼ埋まっています。もっとも今のところは10時枠なら空いてる日が多いし、11時枠ならだいたい大丈夫。
 マジで6月より空いていて、今なら朝イチでなければ「明日天気よさそうだから万博行くか」が通用します。

大阪・関西万博 来場者輸送実績
https://www.expo2025.or.jp/wp/wp-content/uploads/20250728-03_traffic_JP.pdf

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 来場者の交通機関別の割合も集計されています。開幕からの通算で、Osaka Metro中央線が72.7%と圧倒。大量輸送に強い鉄道の威力を存分に発揮。夢洲駅直結の東ゲートが混むわけです。桜島駅のシャトルバスはあれだけ頻回運転しているのに8.2%と一割にも達していません。パークアンドライドが8.5%あるのが意外に健闘している印象。

 ちなみに中央線の車両、30000A系の6両編成の定員が820人、400系6両編成の定員が807人。夢洲駅の時刻表を見ると1時間に最大24本運行ですから、一時間に運べる人数は最大で19,680人。閉場時に4万人残っていたら捌くのに2時間かかる計算。
 桜島駅シャトルバスは最頻5分間隔なのでこちらも1時間で24本。車両はあちこちから集めているので定員はわかりませんが、大型路線バスの標準で80人として一時間で1,920人で、臨時便を出すにしてもベースの容量が少ない。

 夢洲は鉄道が1本で、道路も夢咲トンネルと夢舞大橋の2本しかないので、これは場所が悪いです。

来場者数と入場チケット販売数
https://www.expo2025.or.jp/news/news-20250728-03/
https://www.expo2025.or.jp/news/news-20250721-01/

2025年7月20日〜7月26日の来場者数(AD証入場者数を除いた数)
入場者数872,210
入場チケット販売数(2025年7月25日と7月18日の差分)
一日券124,199
平日券179,296
夜間券89,163
特別割引券21,509
通期パス2,884
夏パス26,081
3歳以下無料券17,487
一般団体割引券6,448
前期学校団体割引券110,735
後期学校団体割引券1,592
こども招待一日券23,943
大人招待一日券2
開幕券0
前期券0
合計603,339

 来場者がどの券種で入場しているのか博覧会協会は把握しているはずですが、公表されていません。
 入場チケット販売数は一週間ごとに累計販売枚数が出ているので差分はとれますが、今回の万博は基本的に来場前にチケットを買うシステムなので、チケット販売日と入場する日が合いません。
 なので直接の比較にはならないのですが、参考程度には。

 「前期学校団体割引券」が11万枚も出ているのがびっくりですが、これは7月18日が前期学校団体割引券の終売日なので駆け込み需要。夏休み期間中に学校団体が訪問するのは考えにくいので、この分は未使用と考えてよいでしょう(夏休み明けが大変だ)。
 会期を半分過ぎてから通期パスを買う猛者が2,884人もいるのにびっくり。また7月19日から8月末まで有効の夏パスを目一杯利用使用する人もこの時期までに購入しているはず。
 いずれにせよ一日券・平日券・夜間券の販売枚数と入場者数が全然合わなくて、通期パス(累計393,529)や夏パス(累計234,521)のリピーターが相当の数を占めていることが伺えます。
# 身の回りでも週二で通っている人(複数)や、通期パスと夏パスの二枚持ちの人(複数)がいるからなあ。

 公式に発表されている入場者数がスタッフ等(AD証入場者数)を含めた数で発表されているのは本当に面倒。あえて「常識」という言葉を使いますが、常識ではあり得ない。引き算すれば一般入場者数が分かるのですが、いちいち面倒。水増しと言われるのも止むなし。

 夢洲へ行かれるみなさん、とりあえずお身体にはお気をつけて。
 あと次に日本で大規模イベントをやるなら、冬季開催にしよう、マジで。
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2025年07月01日

大阪・関西万博(7月1日)

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 7月1日、二度目の大阪・関西万博。
 今回の万博は一度行けばいいと思っていましたが、イタリア館の伊東マンショ(天正遣欧少年使節の人)の肖像画を見落としたのが心残りでした。また日本に来る機会もあるとは思いますが、それまで「あのとき見ておけば」と思い続けるのもどうなんだ。

 ということで再度の訪問を計画。
 暑いよりは梅雨の方がマシと7月1日に休みを取ったのに、まさか6月中に梅雨が明けるとは思いませんでしたよ! 想定外の酷暑の夢洲となりました。

20250701_expo_014.jpg 5月の初回訪問時は「ここは見ておかねば」と思ったところを回るのに大忙しでしたが、今回はメインミッションを早々にクリアしたので、のんびり楽しく回れました。ただ暑いのはどうにもしんどかった。
# その後もっと暑い夏になるとは予想はしたけど予想以上だった。

06:42 神姫バスEXPO神戸号始発臨時便出発
07:20 西ゲート着
08:57 西ゲート入場(アーリーゲート)
09:18 イタリア館入館(18分待ち)
10:50 大屋根リングへ登るも1/3周歩いて暑さで撤退
11:15 ドイツ館入館
12:19 ベトナム館入館
13:05 カタール館入館
13:53 フューチャーライフヴィレッジJAXAブース入館
14:40 ガンダムパビリオン入館(当日予約)
15:42 UAE館入館
16:43 アメリカ館入館(42分待ち)
17:23 トルコ館入館
(この間に案内所で一時間休憩)
19:31 アイルランド館入館(30分待ち)
20:11 国際赤十字・赤新月運動館入館
20:40 大屋根リングを半周して西ゲート方面へ
21:00 西ゲート退出
21:14 桜島駅行シャトルバス(事前予約)で会場発
22:38 三宮着
※待ち時間は10分以上のみ記載
※7日前予約は抽選で壊滅、3日前予約は希望館に空きなし。

 書き出したのを見たら全くのんびりしてなかった(^_^ゞ
 これで2025年の万博はおしまい。

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2025年05月17日

大阪・関西万博2025 その3 スイス・中国・まとめ

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 今回の万博で見たかったもの、もう一つは中国館の月の裏側の砂でした。夕方になっていよいよ見学です。

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 午後早いうちは入場制限が掛かっていたスイス館。
 1745の時点で待ち時間45分とのことで列につきました。意外にさくさく進んで、35分で入場。

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 きれいな影絵でスイスの風景を紹介する部屋や、シャボン玉が飛び交う部屋を通り過ぎると、スイスの科学技術の展示室があります。ここでチュリュモフ・ゲラシメンコ彗星(ESAのロゼッタ探査機が探査)の香りをかげるというのがスイス館訪問の目的。

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 甘味と鼻の奥がツンとする軽い刺激が合わさった香水のような不思議な香り。
 彗星核は一酸化炭素とかシアン化合物を含んでるので真面目に再現すると体調悪化者が続出して大変なことになります。おそらくですが、彗星核に含まれている成分をアレンジしてイメージ映像ならぬイメージ香料として整えたのではないかと思います。
 探査先の天体にどんな物質が含まれているかを計測するセンサーをスイスのベルンで作っているのが、この展示の背景にあります。

20250517expo2025_330.jpg 出口にアルプスの少女ハイジがいるのが上手い。いやアニメのハイジを知ってるの何歳以上だよという気もするのですが(私の世代ですら何度目かわからぬ再放送)、舞台になった相手の国から紹介されると、親しみが増します。

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 中国館。1835の時点で45分待ちといわれましたが、順調に列が動いて25分で入れました。
 竹簡や木簡をイメージした建物には漢文や漢詩が書かれています。趣を凝らした建物が建ち並んでいる中でもひときわ目に付くパビリオン。「有朋自遠方来 不亦樂乎」あたりは中学の国語の漢文で学んだのだったか、「読める、読めるぞ」という感じ。義務教育で隣の国の古典を学んでいるんだな私たち。

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 入館して目に付くのが大きな円形スクリーン。
 自然と調和した営みのシンボルとして二十四節気の風景をイラストで次々に映し出すのですが、合間に二十八宿や淳祐天文図が登場します。

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 もう一つ、展示の始めにあるのは殷墟の甲骨文字から秦代の文字が刻まれた青銅片、顔真卿の書を集めた冊子といった文物。
 展示ケース前面がタッチパネルになっていて、説明文や3Dデータを呼び出せます。3Dデータはぐるぐる回せたり拡大できたりするので、これは子どもたちも大喜びで触っています。
 ただタッチ面を透過して展示物を見ることになるので、細かい観察は不向き。詳細は3Dデータで見てくれという割り切りかもしれません。

20250517expo2025_360.jpg また殷墟で発掘された巨大な青銅器もデンと置いてあります。よく持ってきたなと思ったのですが、実はこれらの考古展示はレプリカ。キャプションに複製表記がないので(もしく私が気付かなかったか)本物だと思って見ていました。

殷墟博物館の所蔵品2点が日本大阪・関西万博で公開へ(人民網日本語版/2025.02.17)
三星堆の文化財レプリカが大阪・関西万博で展示へ(人民中国/2025.03.13)

 この辺りの事情は中国メディアも報じていて、レプリカも今回の展示のためにわざわざ作ったものもあるそうです。
 ちなみに中国館は全般的に日本語の解説が充実しているのですが、イタリア館などキャプションが少なすぎて、本物と気付かず見学していたという人も。お国柄というか何というか。

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 1階から3階へ上がるスロープは日本と中国の友好に携わった人々のレリーフが飾られています。これは上手い演出。
 阿倍仲麻呂に始まって、鑑真、最澄、空海……と続く人選が歴史好きをくすぐります。近現代では毛沢東や周恩来も出てくるのですが、毛沢東が微妙に距離を置いた扱いになっていたり、ケ小平と松下幸之助がセットで登場したり、どういう意図で選んだのか深読みしたくなります。
 記録に残る日中史は漢委奴国王印から始まりますが、この時代は日本と中国は圧倒的な国力差があります。卑弥呼も遣隋使の聖徳太子も飛ばして、唐王朝で出世を遂げた阿倍仲麻呂から始まるのも面白い。逆に取り上げられていない人物が誰かを考るのも面白そう。

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 スロープを上りきった先の映像コーナーでは横長のスクリーンに、一日を十二支の時制で刻んで現代の人々のくらしを紹介する動画が流れます。エントランスの二十四節気といい、時と暦をもってくるのは心憎い。そして時も暦も日本は中国伝来のものを長らく標準として使ってきた歴史があり、今も日常生活の中に溶け込んでいることを想起させます。
 それにしても映像に出てくる中国の人々の自信に満ちあふれた顔よ。

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 さて中国館の目的は嫦娥5号(月の表側を探査)と嫦娥6号(月の裏側を探査)が持ち帰った月の砂。特に嫦娥6号が探査した月の裏側は人類史上初めてサンプル回収に成功した快挙です。
 イタリア館のファルネーゼのアトラスとともに、月の裏側の砂を見ることが出来るのが今回の万博見学の背中を押す決定打でした。
 アメリカはアポロ計画に際して回収した月の石(11号から17号まで合計382kg)の一部を世界各国に配り、日本では上野の国立科学博物館に常設展示されています。中国の嫦娥計画は無人機でのサンプルリターンのため、表面の嫦娥5号が1.7kg、裏面の嫦娥6号で1.9kgほど。研究用にサンプルが配布されることはあっても、一般公開となると今後も機会は限られそうです。

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 まずは嫦娥5号が2020年に回収した月の表側・嵐の大洋で採取した砂。アクリル樹脂のドームに封入されての展示ですが、真上から見ると凸レンズ越しに見ている形で拡大状態で観察できます。
 嫦娥5号の成功で、中国はアメリカ、旧ソ連に続いて世界で3番目に月からのサンプルリターンに成功した国となりました。

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 嫦娥6号は月の裏側、アポロクレーターでサンプルを採取しています。嫦娥6号の月探査は2024年6月ですから、まだ一年も経っていない採りたてホヤホヤの月の砂。
 月は常に表側を地球へ向けているので、裏側へ降りる探査機は地球と直接通信が出来ない中での探査になります。人類を送り込んだアポロ計画の着陸点は安全面の考慮もあって全て月の表側でしたし、旧ソ連の無人探査機ルナ計画の着陸点もやはり表側です。
 中国の嫦娥計画では月の裏側と地球を結ぶ通信衛星を配して月の裏側の探査を成功させました。

 嫦娥5号・6号が持ち帰ったサンプルはいずれも黒い砂ですが、照明で相対的に黒く見えるのか、玄武岩質の砂で黒く見えるのかまでは素人目には判別できません。

 男性スタッフ2名が付かず離れずの監視役で配置されているのですが、写真撮影はOKで「真上から撮った方がよく写る」などと声を掛けてくれます。たまたまかもしれませんが私の訪問時は日本語がそれほど堪能でない方で、ひとまず御礼だけ伝えて場を離れました。

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 ちなみに最新の科学技術の展示では、宇宙開発と深海調査艇「蛟竜」が二本柱。「蛟竜」は日本のしんかい6500を上回る水深7,062mの潜水に成功しています。日本はしんかい6500の後継機の目処が立っていないので、ここも差が開きつつある感があります。

 それにしても中国パビリオン、歴史と伝統がある上に経済的な勢いがある国とはこういうものか。今日見たパビリオンの中では質量ともに頭一つ抜けた展示でした。

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大阪・関西万博2025 その2 日本館・JAXAブース・インド・豪州

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 午前中に豪雨、午後になっても強風で、大屋根リングは日中は一度も解放されないままでした。天候は止む無しといえ、今回の万博のシンボルなのに上がれないままだったら木戸銭一部払い戻し対象にならん? と少し頭をよぎりました。万博に興味のなかった私でも知ってるくらいにアピールしてるんですもの。

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 大屋根リングは概ね評価の高い構造物ですが、個人的にワクワクはしませんでした。巨大木組み建造物の大先輩といえる東大寺南大門を見慣れているせいか、「すごい」という気がおこらないのです。会期終了後の木材の再利用や処分法も当然考えているでしょうから一概に無駄とは思いませんし、地図に載るクラスの構造物なので、上空から見たら違う印象を持つかもしれません。

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 日本館。朝一番にイタリア館の行列に並んでいる間に、当日予約枠を確保出来ました。
 現地には時刻通りの1250に着きましたが、そこから入館まで30分。
 政府出展パビリオンは万博の「顔」です。大きなテーマは「循環」ということで、ファクトリー・ファーム・プラントの3つのエリアから循環型社会を考える展示。

 そして時代の変化をいちばん感じたのが日本館でした。
 1985年の科学万博-つくば'85の政府出展テーマ館では、科学技術の明るい未来が素直に描かれていました。翌年の1986年にスペースシャトルチャレンジャーの事故とチェルノブイリ原子力発電所事故(当時の名称で記載)が発生。オゾンホールは1983年に発見されていましたが、その影響の大きさはまだ知られていません。明るく豊かな21世紀を夢見ることが出来た最後の時代だったのかもしれません。
# バブル経済から平成不況への引き金を引くプラザ合意もつくば博閉幕直後の1985年9月22日。

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 今回の日本館に展示されているのは未来の技術よりも既存の技術。無邪気に明るい未来はなく、未来のために今から取り組むべき人類の責務を描くのが2025年。
 ドラえもんやキティちゃんといった日本に住む人の多くになじみのあるキャラクタも登場。親しみやすい展示にはなっていますが、以前なら政府出展に既存のキャラクタは使わなかっただろうな、としみじみ。
 展示の途中にグッズを売るショップがあるのもびっくりしました。政府出展館でキャラクタ商売するとは、本当に時代が変わったものです。

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 宇宙関連ではファクトリーのエリアに月着陸機SLIMとはやぶさ・はやぶさ2の展示。
 SLIMは3Dプリンタで出力した衝撃吸収脚が紹介されていましたが、SLIMは逆立ち状態で着陸したので想定通りの動作はしたのでしょうか。SLIMは1/4スケールの模型が吊り下げられていましたが、もともと小さな宇宙機なので実物大模型をデンと置いてもよかったのではと思います。

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 はやぶさ・はやぶさ2は地球帰還カプセルと採取したサンプルの紹介で、カプセルは断面模型の展示。長く宇宙を旅して大気圏再突入した本物のヒートシールドが出展されたら説得力抜群ですが、劣化が激しいので関東からの移動には耐えられないのだろうなあ。

 はやぶさが回収したイトカワのサンプルは顕微鏡での実物撮像をモニタに上映、はやぶさ2の回収したリュウグウのサンプルはルーペで拡大観察出来る状態で実物が展示されています。私は既にあちこちで見学したものですが、宇宙に強い興味のない人にも見てもらえるのは万博ならでは。小惑星のサンプルを2天体分持っているのは日本だけなので、ここはもっと自慢してよいところ。
 ただSLIMもはやぶさもはやぶさ2も基本的には区切りのついたミッションなので、日本館全体のテーマとの兼ね合いはあるとはいえ、将来へ向けた展示がないのは惜しい。
# ちなみにはやぶさ・はやぶさ2の次に紹介されているのが伊勢神宮の式年遷宮。

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 そして日本館のメイン展示物の一つが極地研究所が南極で回収して来た火星隕石。
 火星隕石は火星の表面の岩石が、火星と他の天体が衝突した衝撃で舞い上がって、惑星間を漂った末に地球に落ちてきたもの。火星の表面重力は地球の1/3程度なので、重力圏を脱出しやすいのです。隕石そのものは地球の地上で見つかったのですが、隕石内部に封じ込められていたガスを分析すると、火星探査機が調べた火星の大気と一致する成分なので、火星由来の岩石と判明しました。

 もともとは2024年に打ち上げ予定だった日本の火星衛星探査機MMXが、大阪・関西万博会期中の2025年8月に火星軌道に到達予定で、その映像を生中継する構想がありました。ところが打ち上げロケットのH3もMMX探査機本体も開発が遅延。火星生中継の代替のように浮かび上がったのが火星隕石の展示でした。

 火星隕石は珍しいものですが、地球上に一つ二つしかないというものではなく、上野の国立科学博物館の地球館に常設展示されていますし、なんなら大阪市立科学館にも小片が常設展示されています。

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 今回の日本館で展示されている火星隕石は、極地研が持っている火星隕石の中でも大きなもの。科博よりも大阪市立科学館よりも断然大きい。そして薄片に触ることも出来ます。ただ薄片の表面はツルツルに研磨してあるので、石に触った実感は薄いかもしれません。
 火星隕石の展示は壁に埋め込んだケースの中なので、あちこちから眺めることは出来ず、写真も一人一枚までと制限されます。多くの見学者を捌く必要があるのでやむを得ないとはいえ、じっくり見たかった。

 日本館の全体を貫く「循環」のテーマからも浮いた内容で、少々不思議な展示でした。地学好きの私は大喜びですけどね。

 日本館を出たあと、月の裏側の砂のサンプルが出展されている中国館と、彗星をイメージした匂いをかげるというスイス館を見学しようと思ったのですが、スイス館は列が伸びたために入場制限中(たしか45分待ち)。中国館も1時間半以上の待ちということで、いったん退避。

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posted by ふくだ at 23:46| Comment(0) | 一般公開

大阪・関西万博2025 その1 イタリア・パレスチナ・ウクライナ

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 大阪・関西万博。当初は全く興味がなかったのですが、イタリアがファルネーゼのアトラスを展示するというのと、中国が嫦娥6号が回収した月の裏側の砂を展示するというので重い腰を上げました。
 入場料は大人の一日券が7,500円というパワフルな設定。私は茨城県出身なので万博といえば1985年のつくば科学万博が頭に浮かんできます。つくば博の大人は2,700円でしたから、大阪・関西万博の7,500円は2.8倍。この間の大卒初任給の上昇は1.8倍程度ですから強気ぶりが際立ちます。あまりに高いので、開幕前に前期の前売券を購入(5,000円)しました。

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 当日は家を出るのに手間取って、桜島駅0815着。
 桜島駅からのシャトルバス0835発(08時台乗車事前予約済)。

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 西ゲートバス停着0850、ゲート滞留列最後尾着0854。
 西ゲート入場0919(09時台入場予約済)。

 この日の午前中は大雨。ゲート前の誘導スタッフは悪天候の中で適切に案内をされていて、ここに限らず現場の方の応対は満足できるものでした。ただ入場時の手荷物検査は時間が掛かります。雨の中で実質待ち時間25分。「待たない万博」って言ったの誰だ。

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 イタリア館。ここに展示されるファルネーゼのアトラスを見るために今回の万博に来たと言って過言でありません。
 ギリシア彫刻のローマ時代の模刻とされているものですが、とにかく現代に伝わる天球儀としてはこれが一番古い(そもそもローマの彫刻はギリシアの彫像に範を取った作品が多いらしい)。
 ふだんはナポリ国立考古学博物館に展示されているのですが、大阪にまで出向いてくれるなら、万博会場に足を運ぶのもやぶさかではありません。

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 最大の誤算は、イタリア館が人気パビリオンになってしまったこと。
 つくば科学博の経験からすると、外国館は待ちなしで入れるのが普通でした。ファルネーゼのアトラスは世界的な文化財ですけど、そんなにみんな天球儀が好きなのか!?
 前売券を買った時点で二ヶ月前予約は終了、一週間前予約は第5希望までの抽選で5枠全てをイタリア館で申し込むも全滅。3日前予約で瞬間的に△が出たことがあるのですが、クリックしたところでウェブサイトにエラーが出て強制終了。とにかく事前予約は壊滅です。
 
 かくなる上は当日入場と同時にイタリア館へ直行。0930にパビリオンへ着いた時点で予約なし待機列は「今からだと2時間以上待ちです」と案内されました。ただ、見たところ「1時間くらいで行けるだろ」という人数だったので、そのまま列につきます。0930に並び始めて1040に入館。実質70分待ちでした。

 やっとこ会えたファルネーゼのアトラス。
 気がついたら30分眺めていました。警備員さんからも「こいつはもう放っておこう」という目線を感じます。そのまま1時間でも眺めていられるのですが、さすがにこれだけ見て一日終えるわけにもいきません。

 とはいえ天球儀の星座を辿るだけでも面白いですし、黄道や赤経赤緯をたどるのも面白い。
 天球儀ですから、星座は天球の外から見た裏返しの姿。きちんと数えていないのですが、プトレマイオスの48星座はだいたい描かれているようです。ちなみにみなみじゅうじ座はありません。
 歳差がありますから春分点と秋分点の位置も違います。春分点はおひつじ座の前脚あたり。ざくっと2000年前という印象ですが、帰宅してステラナビゲーターで確認すると紀元前200年よりもう少し現在に近い……紀元前2世紀といったところ。

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 この像は多くの星座の入門書でも紹介されるので、何なら子ども時代から知っています。それが手を伸ばせば届く距離にあるのですから(伸ばしてませんよ!)、ワクワクを抑えるなんて無理な話です。

20250517expo2025_087.jpg iPhoneのカメラロールがこの状態です。この日撮影した写真の一割以上がファルネーゼのアトラスの写真でした。これとは別に一眼デジカメでも撮影していましたから、あとでフォトグラメトリで3Dデータを起こせてしまうかもしれません。既に3Dデータ公開されているのでしませんけど。

 あとで見返すとアトラスの表情のアップなど一枚も撮っていなくて、半分以上は天球儀の拡大写真ばかり。でもこの像を見ることで今回の万博の目的の半ばは達成したようなものですからいいのです。

20250517expo2025_091.jpg ちなみに今回まともに下調べしてないので他にイタリア館に何があるのかも知らなかったのですが、次の部屋にあるのがカラバッジョ作『キリストの埋葬』。
 これも図鑑で見たことある絵です。ちなみにイタリア館、日本語の解説が少ないのですが、この絵だけはバチカン美術館の学芸員が記したキャプションがしっかり付いていました。イタリア館の中のバチカン市国エリアという位置づけ。

 そういえば天正遣欧少年使節の伊東マンショの肖像画も来ているのですが、展示に気付かずスルーしてしまったのは残念。ファルネーゼのアトラスに直行せずに、展示ブースの左手前に行かねばならなかったのです。歴史好きとしては押さえておきたかったのですが、あの絵は何度か来日しているので、そのうち機会があるかもしれません。

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 大人気なのはレオナルド・ダ・ヴィンチの直筆画稿で、写真も撮って大丈夫という大盤振る舞い。ただここだけは写真一枚撮ったら移動という形でじっくり見ることは叶いません。ここも日本語の説明がなくて何の図か分からないまま。予備知識がないと本物とは思わずに通り過ぎてしまうかもしれません。とにかく雰囲気で満足させてしまうのもイタリアっぽい。

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 ちなみに雨漏りで入れないエリア(さすがイタリア)に現在の産業技術の展示がありました。柵越えに眺めていたら警備員さんが「写真なら撮ってあげるよ」というので、スマホを渡すとピレリのタイヤとフェラーリのディスクブレーキを撮ってくれました。男の子が好きなのこの辺だよねという感じ。

 宇宙開発関係の展示も多くあったのですが、これがまた説明が少ない。モノとタイトルでおおよその想像は付くのですが。ヨーロッパは国際分業で宇宙開発を進めている部分があるので、国ごとの得意分野を見るのもちょっと面白いです。
 そんなこんなで今回の最重要ミッションの一つを達成したのでした。

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posted by ふくだ at 23:45| Comment(0) | 一般公開

2025年03月01日

海王丸一般公開(神戸港新港第一突堤)

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 日本に籍を置く帆船で広く知られているのは、海事教育機構(かつての航海訓練所)の練習帆船「日本丸」「海王丸」だと思います。
 神戸には神戸商船大学の流れを汲む神戸大学海洋政策科学部があり、そのため年に何度も練習帆船が寄港します。須磨沖に停泊している姿を通勤途中に見ることもしばしばで、神戸の景色に馴染んだ存在です。

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 とはいえ一般公開となると機会が少ないもの。今回は神戸港新港第一突堤で海王丸の公開があり、出かけてきました。

 今回の一般公開は船内に入ることなくデッキの上を一回り。実習生が各所に配置され、説明や質問に答えていました。

 「あのわっしょい言うてるのは何なんですか?」と聞いたら「今日一番のおすすめです、ぜひ」と椰子の実で甲板磨きを体験することになりました。体験と言いながら掃除のお手伝いをした気がするぞ。

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 ちなみに椰子の実ですが、2つに割ると繊維質でタワシそのもの。ちょっと欲しいと思ったのですが、この大きさでは一般家庭だと風呂場か玄関のたたきくらいしか使う場所が思い浮かびません。

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2025年02月16日

南極観測船「ふじ」(名古屋市港区)

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 南極観測船「ふじ」は、1965年から1983年まで南極観測に従事しました。
 先代の「宗谷」は海上保安庁の所属でしたが、「ふじ」から現在の2代目「しらせ」に至るまで、文部科学省の予算で建造されて海上自衛隊が運用しています(自衛隊では砕氷艦)。

 戦後復興の途上に南極を目指した「宗谷」と、砕氷船として世界第一級の能力を得るに至った「しらせ」の間に活躍した「ふじ」は、引退後、名古屋港に係留されて一般公開されています。
 改めて驚いたことに、引退したのは40年以上も前です。昭和の時代の昭和基地を支えた船です。

 2006年に一度見学したことがあり、今回はそれ以来の訪問。当時のデジカメだと暗い船内の写真を撮るのに苦労した想い出があります。

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 船内は主要な船室が公開されていて、中には人形を置いて当時の雰囲気を再現しています。
 左上から調理室、医務室、左下に移って理髪室、観測隊員室。

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 この理髪室は全国利用生活衛生同業組合連合会から「理容遺産」に認定されています。専門の理容師さんが乗っていたわけではなく、隊員同士で刈っていたそうです。虎刈りの意の「タイガーショップ」と呼んでいたそうですから、腕前は……
# なお後継船の初代「しらせ」の理容室には「タイガーカットハウス」の貼り紙がありました。

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 観測隊員は2人または4人部屋ですが、自衛隊員は3段ベッド。今の「しらせ」の半分以下の大きさの船とはいえ、これはつらい。この居住環境で晴海埠頭から昭和基地まで往復していたとは。
# 公開されてませんでしたが士官はおそらく少人数の部屋と思います。

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 「ふじ」の推進にはディーゼル電気推進が使われています。ディーゼルエンジンで発電し、電気でモーターを回してスクリューを駆動するのです。ふつうにディーゼルエンジンでスクリューを回せば良さそうなものですが、南氷洋で氷を割って進むためには何度も氷に体当たりを繰り返すため、頻繁に前進と後進を繰り返します。モーターに供給する電流のプラスとマイナスを切り替えれば済むので、メリットが大きいのです。
 これは「しらせ」や二代目「しらせ」にも引き継がれています。

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 「ふじ」の船尾はヘリ甲板になっています。先代の「宗谷」は砕氷能力が低く、昭和基地に接岸鶴ことが難しかったため、ヘリコプターを利用して昭和基地への輸送を行いました。「ふじ」でも輸送用にシコルスキーS-61Aを2機と観測用にベル47G-2Aを搭載していました。シコルスキーS-61Aは「しらせ」になっても引き続き使われています。

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posted by ふくだ at 23:50| Comment(0) | 一般公開