2020年02月20日

UCCコーヒー博物館

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 ポートアイランドの一角にUCCコーヒー博物館があります。
 私は煎茶で育った人間で、家ではいつもお茶ばかり飲んでいるのですが、阪神間の今の職場はコーヒーが標準。職員もコーヒーばかり飲むし、来客にもコーヒーを出すし、もちろんコーヒーメーカーも置いてあります(2台も)。同じ豆でも煎れる人で味が違ったりするので、いろいろ奥が深いんだろうなと思ったら、どうやらとんでもない沼なのでした。

20200220uccmueum019.jpg 興味がないことにはとことん無知で、原産地のエチオピアからアラビア半島、言い換えればムスリム経由でヨーロッパに広がったとか知りませんでした。「モカ」ってアラビア半島のイエメンの地名なんですよ。
 ついでに「ブルーマウンテン」ってジャマイカなんですって。オーストラリアにもブルーマウンテンズ国立公園があって、皆既日食のついでに寄ったことがあるので、てっきりそちらが有名なコーヒーの産地だと思っていましたよ。物知らずにもほどがある。
 なおコーヒーは麻袋詰めで出荷されるのですが、ブルーマウンテンに限っては木の樽に詰められるそうです。玉露か。

 トルココーヒーというのは豆ごと水から煮立てちゃうコーヒーの淹れ方で、コーヒーの発展史では古い淹れ方なのですが、アラビアからヨーロッパに伝わる途中にトルコがあるわけです。そんでもってウインナーコーヒーのウィーンもオスマン・トルコの大群とキリスト教徒が大攻城戦を展開した街なのです。世界史だ。

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 コーヒーを煎れる器具たち。豆を煮出しただけでは満足しなかった人類の歴史です。

20200220uccmueum025.jpg サイフォンは実家にあったのですが、私が子どもの頃に割ってしまって、どう動くのか見たことないままでした。博物館の動画コーナーで見たのですが、蒸気圧で沸かしたお湯を押し上げるとか、面白がって作ったに違いありません。いわゆるサイフォンの原理を使ったものではないので、名前に引っ張られたら仕組みが分からなかったわけです。

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 冒頭の写真は焙煎のコーナーで、壁一面に焙煎の色合いを表示しています。英文字が入っているところは実際の豆が展示されているのですが、ライトローストの豆は小麦のような色で豆もしわしわ。最も濃いイタリアンローストはほぼ真っ黒で豆も丸々。煎り具合が浅いと酸味のある味に、深入りだと苦味のある味になるそうです。単に焦げ具合の違いではないのか。

 初期のコーヒーは実ごと煮ていたそうで、焙煎するようになったのはアラビアに伝わってから。いわゆるコーヒーの香りは焙煎しないと出てこないもので、葉も花も実も生のままではコーヒーの香りはないのだとか。最初にコーヒー豆を煎って飲もうと思った人は人類史に名前が残るべきです。

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 コーヒーのテイスティングもできます。
 職場のおかげでコーヒーにもいろいろな味の差があることは分かっていたので、今回出ていた2種類ももちろん味の差がわかりました。実際に喫茶店などで飲むのはほぼアラビカ種で、カネフォラ種はブレンド用やインスタントコーヒーなどの加工用に使われるそうです。実際カネフォラ種のほうが苦味が強いのですが、個人的には酸味より苦味のほうが好きなので、これもまた乙なものだと思ったのでした。

 しかし品種に産地に焙煎に煎れ方と、コーヒーの味は可変要素がありすぎて沼の深さが半端ないです。
 知人にもコーヒーに凝りだした人が何人もいるのですが、私は淹れてもらうものを楽しむにとどめたほうが無難そうです。

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 UCCといえば缶コーヒーやインスタントコーヒーでも知られていて、缶コーヒーは世界初なのだとか。昔から見る缶ですが、元茨城県民としてはマックスコーヒーのほうが馴染み深いのです。練乳入りコーヒーなんてブラック無糖派の人が聞いたら卒倒されそうですが。

 缶になる前は瓶詰めコーヒーで、濃縮したものを薄めて飲むタイプのものもあったそうです。カルピスみたいですね。

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 コーヒー博物館の出口にクイズコーナーがあって、全問正解すると年間パスポートとして使える大博士認定証がもらえます(もらった)。今度ポーアイの青少年科学館に来る機会があったらまた寄ってみましょう。
 なお博物館前の御影石のベンチもコーヒー豆。

20200220uccmueum033.jpg なおコーヒー博物館の隣の会社の敷地の自販機が容赦なくアサヒ飲料で、このへん全く気遣わない姿勢がネタ的に面白くて好きです。
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2020年01月26日

明石市立文化博物館特別展「138億光年 宇宙の旅」

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 明石市立文化博物館の特別展『138億光年 宇宙の旅』見学。
  「NASAの写真ならネットで公開されているものを見てるし、今更」と舐めてかかっていたのですが、観賞用に大伸ばしされた作品群の迫力にうたれました。90分かけて2周してまだ見たりないくらいでしたが、脳のメモリがあふれました。市政100周年記念かつ天文科学館とのコラボ企画にふさわしい重厚さです。
 ふだんプラネタリウムに来られる方とはまた違う雰囲気のお客さんが多くて、それもよかったかなあと思います(^ ^)

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 床面展示に宇宙飛行士の足跡付き月面写真があるお茶目なところも。

20200126akashi006.jpg 明石市立天文科学館と文化博物館を両方まわるスタンプラリーもあり、クリアするとクリアファイルがもらえます。天文科学館では同じタイトルのプラネタリウム番組を上映中。

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2020年01月23日

神戸市立博物館 企画展「建築と社会の年代記 竹中工務店400年のあゆみ」

20200123kobecitymuseum01.jpg 神戸市立博物館の企画展「建築と社会の年代記 竹中工務店400年のあゆみ」を見てきました。
 神戸市内には「竹中大工道具館」があり、それなりに縁が深い会社なのだろうとは思っていたのですが、同社の創業地は名古屋。織田家の普請奉行を勤めていた祖先が武士を離れ、宮大工となったのが事始めとか。明治維新後に神戸に進出して、洋風技術を取り入れながら発展したそうです。現在の本社は大阪ですが、神戸は会社の転機の地だったわけです。

 展示の中では神戸にある竹中工務店が施工した建物が紹介されます。建築物は設計者の名前は残りますが、施工者の名まで記されることは少なく、旧居留地の名だたる建物の数々を竹中工務店が施工していたことは初めて知りました。

 展示の中盤では建築模型も沢山出ていて、模型好きとしてはそれだけでお腹いっぱい楽しめます。この辺りは建築に詳しい人に案内いただきながらもう一度見てみたいところ。

 展示されている建物の写真を見て重ね重ね残念なのが、多くの建物が阪神・淡路大震災で失われてしまったこと。当時は登録文化財の制度がなく、重要文化財の指定では近代の建物が十分にカバーできていなかったため、もしかしたら補修に耐えたかもしれない建物も、多くが文化財保護の網から漏れたまま、解体されてしまったのです。

 展示の終盤に街の記憶と再生を扱うコーナーがあって、震災25年に合わせてこの展示を企画したのはさすが神戸市博。一企業の歴史を縦軸にしながら、社会の変容も浮かび上がらせる企画展でした。
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2019年12月15日

広島城企画展「江戸時代の天文学」

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 広島城天守は戦後に再建された建物で、内部が歴史資料を展示する博物館になっています。ここで「江戸時代の天文学」をテーマにした企画展が行われるというので、行ってきました。

 江戸時代の天文学の大きな縦糸は渋川春海に始まる改暦事業で、これに麻田剛立に始まる民間からの天文学の隆盛や西洋天文学の受容、そして伊能忠敬の日本地図測量が横糸となって織りなされていきます。

 出展物の中では、伊能忠敬の測量の様子を描いた「浦島測量之図」が個人的にいちおし。地元の庄屋が絵師に描かせたものだそうで、昼間の測量、夜間の天測の様子が詳細に描き込まれています。実は忠敬、詳細な測量日誌は残しているのですが、測量の様子が具体的に分かる史料は少なく、数点の絵図が伝わるのみ。その中でも「浦島測量之図」は書籍にもよく登場する史料なのですが、呉のものとは知りませんでした。
 伊能忠敬関連の測量・天測機器は今に伝わっていますが、例えば糸を張って星の子午線通過を測る様子など、この絵図で観測の様子が分かったものもあるそうです。

 今回はよく知られている呉のものと別に、広島城が所蔵している「浦島測量之図」も並べて展示。紙の質が少し落ち、筆致も荒目のことから、呉のものの副本か下書きとして同じ絵師が製作したものではないかと考えられているそうです。広島城所蔵図の方のみにある書き込みもあり、比較研究すると面白そうです。

 最近の地方での江戸天文史の展示では恒例になりつつある、地元の天文関係者を掘り起こしてスポットを当てた展示もあり、頼春水(頼山陽の父)と伊能忠敬や麻田剛立の間の書簡や、忠敬に師事した方が作った絵図なども展示。

 暦関係の史料は大阪市立科学館からの出展も多く、個人的には久しぶりに再会したものもいくつか。あと明石市立天文科学館からも出展史料があったのはびっくり。広島まで来て関西の史料を見るのも不思議な感覚で、思わずニコニコしながら見ていました。

 企画展の図録がないのが残念で、広島城は過去の企画展でも気合の入った図録を作られているのです。せめて簡単なパンフレットでもあれば。

 この企画展、会期中の日・祝には学芸員による展示解説があり、私もこれに参加しました。15分ほどの限られた時間ながら、広島に関わりの深い部分を中心にお話頂けるので、時間が合えばおすすめです。というより、時間を合わせて見学するとよいと思います。
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広島市郷土資料館

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 広島市郷土資料館を訪問。広島の歴史って意外に知らないもので、頭の中の広島の歴史というと、毛利氏の広島築城から浅野氏の入府のあとはいきなり戦争になってしまいます。
 ということで歴史系の博物館を訪ねてみました。以前、NHK『ブラタモリ』広島編の放送があったとき、こちらの学芸員が案内人を務めていたので館の名前を覚えていたのです。

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 常設展示は歴史より民俗系の展示が中心。広島を中心とした地域のかつての、そして今に至る生業を紹介しています。いちばんスペースを割いていたのは牡蠣の養殖ですが(さもありなん)、目を引いたのは海苔の養殖。漫画/アニメ『この世界の片隅に』の主人公の子ども時代に、この海苔の養殖の場面が描かれています。漫画原作のこうの史代さんも映画監督の片渕須直さんも緻密な考証で知られる方ですが、あまりにも同じものがあったのでびっくりしました。

20191215hiroshima103.jpg 開催中の企画展は「特別展『広島町新開絵図』に見る浅野時代の広島城下」。
 「広島町新開絵図」は江戸時代後期に作られた広島城下の絵図ですが、町人町や新開地の描写がメインになっています。神戸の新開地といえば湊川の埋立地に立地した繁華街ですが、広島の新開地は広大な干潟を干拓してできた新たな土地のこと。

 現在の広島市街の半分以上が江戸期以降の干拓地ですが、どのような成り立ちでそれぞれの土地が生まれたのか、絵図と解説のパネルでひたすら解き明かしていく内容です。広島の地理をある程度は把握していないとなかなか頭に入りにくい部分もあるのですが、そこは朝から路面電車で街中走り回ったのが少しは活きています。

 ちなみこの絵図、『ブラタモリ』広島編で干拓地の痕跡を辿るのに使われたものです。ロケ地と同じ場所を紹介するパネルがあって、それで気付きました。でもテレビで紹介したとか、そういうことは書いてないのが真面目といえば真面目。

 ここの企画展は毎回面白そうなテーマを設定していて楽しそうです。
 私が広島市民だったらこの企画展の図録、間違いなく買ってます。

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 広島市郷土資料館はレンガ造りの建物で、元は宇品陸軍糧秣支廠の缶詰工場でした。陸軍糧秣支廠は軍隊の食料等を確保する部門。
 日清戦争時に山陽本線の西の終点だった広島は軍都としての側面もあり、市街の南端にある宇品港が日清・日露戦争時の兵站拠点となったため、この一帯に軍関係の施設が多数、集まっていたのです。

 原爆投下時は爆心地から3.2kmの距離にあり、屋根の北側の鉄骨が全て爆風を受けて曲がっています。
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2019年11月14日

神戸市立博物館「神戸市立博物館 名品展」

20191114kobeshihaku.jpg リニューアルした神戸市立博物館の名品展を見てきました。
 南蛮美術と古地図で群を抜いたコレクションを持ってるので、収蔵品だけでお腹いっぱいになる企画展が成立する市立博物館です。

 有名どころでは歴史の教科書に必ずと言っていいほど掲載されているフランシスコ・ザビエルの肖像画。もともとは現在の茨木市の個人宅で保管されていたもので、400年前に国内で制作されたものが禁教下で密かに守られ続けてきたものです。南蛮美術の蒐集家、池長孟のコレクションとなり、後に一括して神戸市に寄贈されました。
 博物館のリニューアル後はザビエルの肖像画だけで一部屋できています。今回は12月22日までの展示で、今後本物は年に2ヶ月ほどの展示で、残りの期間はレプリカ展示になるそうです。
 その他、入稿する南蛮船を大胆な構図で描いた南蛮屏風や、キリスト教国とイスラム教国の王侯が干戈を交える泰西王候騎馬図屏風、京都に建てられたキリスト教会を描いた都の南蛮寺図など、日本史の教科書や資料集に載っているクラスの絵がゾロゾロ並んでいるので、開いた口が塞がらなくなります。
 これらをいっぺんに見られるのは企画展ならでは。

 このほか、国宝桜ヶ丘銅鐸も一室を割いて常設展示されています。線画が刻まれた銅鐸で、これも日本史の教科書や資料集で紹介される逸品。以前も常設展示されていますが、今回のリニューアルで落ち着いた雰囲気の中で全ての銅鐸が前後左右からじっくり堪能できるようになりました。

 こうした名品逸品の類はリニューアルした2階の展示室でゆったり見られるようになりましたが、一方で神戸の歴史を辿る常設展は無料化されたとはいえ展示スペースが減ってしまったのは残念。神戸は五色塚古墳の古墳時代、平清盛の大輪田泊、中世・近世の兵庫津の繁栄、そして開国と途切れることなく歴史を重ねた街です。
 建物の床面積が増えたわけではないので、どこかを充実させるとどこかは我慢なのは仕方ないとはいえ……展示内容はうまくまとめたとは思います。

 神戸市立博物館、リニューアル後もミュージアムカード(いわゆる年間パスポート)があります。特別展も入場可能なので、すぐに元が取れます。近くの人は作っておいて損はないと思います。
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2019年10月25日

東京国立博物館「正倉院の世界」展

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 東京国立博物館「正倉院の世界」展を見に来ました。
 たまたま開館直前に着いてしまったので、開館待ちの列に当たってしまいました。上野は朝から豪雨。傘をさしても濡れますし、ささないと10秒でずぶ濡れです。
 とはいえ平日ということもあり、中に入ってしまえばゆっくり見ることができました。

20191025tokyo006.jpg 今回の目玉出展物は螺鈿紫檀五弦琵琶(写真は撮影可の明治の複製品)。検索したところ2010年の正倉院展に出展されて以来9年ぶりに人前に出ることになります。超絶な細工に息を飲むばかり。初見なのでこれだけでも来た甲斐ありました。
 展示の各所に解説映像が流されているのですが、螺鈿紫檀五絃琵琶のコーナーでは複製品の作成に挑む技の凄さに圧倒されます。会場に複製品の琵琶の音が流れているのも素敵な趣向。
# 正倉院宝物に関しては、すでにこれまでの奈良国博の正倉院展で見たものもあり、今回は螺鈿紫檀五絃琵琶だけ集中的に見ました。

 今回の「正倉院の世界」展は、所々にモニターに解説映像が流れていますが、いずれも必見。初見の印象もよいのですが、どのような職人が関わり、どのような工程を経て形作られていくのかを知ってみると、また違う視点で見ることが出来ます。1分半から長くても6分くらいですから、そこは時間を惜しまずに見ていきます。

 中でも正倉院宝物の塵芥の分類作業の紹介が圧巻。
 正倉院宝物は長い年月の間に劣化して原型をとどめていないもの―つまりは糸くずや木片や金属片に成り果てているものもあるのですが、それらも廃棄せずに「塵芥」として保存されています。塵芥とは、つまりはゴミなのですけれども。
 箱にまとめていれある塵芥を、糸一本塵一粒見逃さず、ピンセットでつまみ上げながら分類していきます。その中から既存の宝物の復元につながる発見もあったりするそうで、それにしても地道な作業の凄まじさに圧倒されました。

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 こちらも写真撮影可のコーナーから「勅封」の展示。
 正倉院の錠前に紐で封をするのですが、天皇の親書ぐるぐる巻きにくくりつけています。開封時は勅使が紐を切って、親書が無事なことを確かめるそうです。現在の空調完備の鉄筋コンクリートの蔵になっても続いている習わし。

 正倉院宝物は光明皇后が聖武天皇の遺品を東大寺に奉献したものが元になっています。このため寺の宝物でありながら、蔵は勅封とされ、開封には天皇の許可が必要という扱いを受けていました。明治以降は宮内庁の管轄になりましたが現在もこの慣習は続いていて、正倉院展の前には勅使が派遣されています。正確には年に一度の宝物の点検と虫干しの開封のための勅使で、正倉院展はそれに合わせて一部の宝物を展示しているのですけれども。

 さて今回の展示では東京国立博物館所蔵の法隆寺献納宝物も展示されています。
 神仏分離・廃仏毀釈の後、奈良の寺院は経済的な後ろ盾を失って困窮するのですが、その際に法隆寺が皇室に献上したものです。第二次大戦後に東京国立博物館に移され、現在は同館の法隆寺宝物館で展示されています。旧館時代は週一木曜日のみの公開でしたが、新しい館になって通年展示となりました。
 皇室にまとめて寄贈したことで散逸が防がれたとも言えますが、そもそもの明治政府の政策があかんかったのでは……というのはさておき、奈良時代中心の正倉院宝物に比べて、さらに古い飛鳥時代の宝物がまとまって残っているのは、こちらも壮観です。
 奈良の秋の風物詩になっている正倉院展に比べると、東京で常設展になっているので注目される機会は少ないのですが、ぜひぜひおすすめです。
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2019年10月17日

京都鉄道博物館 その2

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 京都鉄博の天文ファン向け展示。企画展「列車愛称進化論」の中のコーナーです。
 夜行列車の名称は天体に関する名称が多く用いられてきました。ヘッドマークの名前を見ただけでワクワクします。

20191017kyoto103.jpg とはいえ、私が乗ったことあるのは急行「銀河」のみ。東京-大阪を結んだ寝台急行で、2008年まで運行していました。
 あと「あかつき」「彗星」は通勤時間帯に神戸を通過していたので、見かけるだけはよく見ていました。
 現在定期で運行されている夜行列車は、サンライズ瀬戸・出雲のみ。寝台列車に比べて割安な高速夜行バスがあちこちに走るようになったのと、廉価なビジネスホテルが増えたことで新幹線+宿泊でも寝台列車とさほど値段の差がなくなってしまったので、やむを得ぬ流れだったかもしれません。
# 名前だけで選ぶなら「彗星」は乗っておきたかったなあ。


20191017kyoto104.jpg もう一つ、展示物から。
 踏切の仕組みの展示があるのですが、非常ボタン押し放題です。実物は押す機会が無いに越したことはありませんが、押すべき時には躊躇なく押さねばならぬもの。本物の踏切で練習するわけに行きませんので、ここぞとばかりに押してきました。一回だけですけど。

 京都鉄道博物館はボランティアのガイドツアー(当日参加可)があって、これはおすすめ。
 JRのOBの方がガイドしてくださるのですが、お話が面白い。私が参加した回は最初3人で始まったのですが、途中で興味を惹かれて合流する人もいて7〜8人に膨らみました。車両にしても鉄道の設備にしても、案内板の解説に載っていないことを、時にはご自身の実体験を交えてのお話で、参加者もすっかり盛り上がり、通常は45分程度で回るそうですが、揃いも揃って「終わる時間は気にしません」という参加者ばかりで、ずいぶんたっぷりお話しいただきました。
 先の踏切非常ボタンはガイドおすすめの展示物なのです。
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京都鉄道博物館 その1

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 京都鉄道博物館へ行ってきました。
 もともとこの地にあった梅小路蒸気機関車館に、大阪弁天町にあった交通科学博物館を統合する形で、2016年にオープンした鉄道専門の博物館です。

 日本最大の扇形機関庫は今も昔もシンボル的存在。前身の梅小路機関区は、エース級の機関車が集められていました。今の機関車では考えにくいのですが、蒸気機関車は車両ごとの個性が強いらしく、日本の大動脈、東海道本線と山陽本線を担う梅小路の機関区には、特に調子の良い車両を集めて配置したそうです。
 とはいえ私、蒸気機関車の現役時代は全く知りません。カッコいいとは思うのですけど、形式などはさっぱり。

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 いちおう知っているのは最大製造数を誇るデゴイチことD51、旅客用に作られた最大の機関車にて銀河鉄道999の牽引機でもあるC62。C62は2台あって、動態保存されているものにはツバメのマークが入っています(が、写真を撮ってない)。つばめは国鉄のシンボルで、超特急「燕」の名称にも使われ、プロ野球球団のスワローズの語源でもあります。それにしてもなんで国鉄がプロ野球球団を持っていたんだろう!?

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 展示車両から、屋内展示の500系新幹線。
 東海道・山陽新幹線の車両はJR東海が中心になって開発しているのですが、これはJR西日本の独自開発。関西-福岡の飛行機をシェアを奪うべく、300km/h運転を実現するために投入された車両です。円形の断面に尖った先頭部。翼のないジェット機のようなフォルムは、未来の車両そのものでした。
 現在は「のぞみ」を撤退し、山陽区間で「こだま」として走行中。個性の強い車両なので、ヱヴァンゲリヲンやハローキティとのコラボ企画にも投入されています。
 断面はほんとに真ん丸で、それ故に車内が狭く、ビジネスマンには不人気だったとか。製造本数も少なく、私が乗ったのは「のぞみ」2回と「こだま」1回のみ。後継のN700系は速度と車内空間のバランスが取れた車両になっています。

 500系の隣にいるのが581系寝台特急電車。昼は座席車、夜は寝台車として24時間働く車輌でした。晩年に急行「きたぐに」で運用されていた頃に一度だけ乗っています。現在は全車引退。

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 489系特急型電車。交直両用で北海道から九州まで走っていた485系特急型電車の信越本線横軽間協調運転対応型。どこでも走れるという意味では日本最強の特急電車でした。長野新幹線の開通前に特急「白山」で乗ったことがあります。
 その「白山」仕様の塗装が再現されていたのですが、表から見える部分だけで、裏側は赤とクリームの元の色なのでした。489系も既に全車引退。原型の485系もさすがに定期運用は無くなったはず。

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2019年10月10日

京都国際マンガミュージアム

20191010kyoto054.jpg 京都国際マンガミュージアム。
 小学校の廃校を利用した施設で、ミュージアム(博物館)と銘打ちながら図書館的な役割も色濃く担っています。蔵書30万冊のうち5万冊が開架で、敷地内で自由に閲覧できます。一方、残りの25万冊は閉架で登録者のみ閲覧できる資料用。
 開架図書は貸本屋さんから寄贈されたものだそうで、保存資料と上手く棲み分けてます。

 常設展示はよく練られた内容ではありますが、漫画の歴史と技法を紹介するにはスペースが足りていません。と感じてしまうのは、世代的に漫画が子どもの頃からあって当然の時代に育ったからでしょうか。とはいえ展示スペースを広げると書架や企画展示のスペースが割を食うことになるし、考えた末の配置なのでしょう。

20191010kyoto057.jpg 特別展では末次由紀『ちはやふる』の原画展をやってました。競技かるたを題材にした作品で全巻読んでる好きな漫画ですから、これはラッキー。一枚一枚に作者のコメントが付いているのですが、初期の頃の作品は耐候性の低いインクで描いてしまったので、既に退色しているものもあるそうです。それも含めて作品の歴史ということ。
# 写真は作者の再現アトリエから机上の様子。どんな画材を使ってらっしゃるのかなと。

 館内至る所に開架の本棚と椅子があって、どこでも座って漫画が読めるので、むしろこちらが主目的の来館者が多そうです。
 漫画は新刊絶版のサイクルが早く、一般の図書館に収蔵されている作品が少ないので、旧作を読むのは意外に難しいのです。近年は電子書籍やオンデマンド出版で旧作入手のハードルは下がりましたが、本棚に並んだ本を手にとって選べる環境は代えがたいものがあります。
 年間パスポート6,000円ですが、近くに住んでればすぐに元が取れそう。
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