2021年08月28日

野辺山宇宙電波観測所特別公開2021(オンライン) その2

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 ALMAの講演会は2つ。
 1つ目は松田有一助教の「いろいろな波長で眺める100億光年先の宇宙」。
 100億光年先の宇宙というのは100億年前、宇宙ができてまだ間もない頃の姿を見ていることになります。
 100億光年先というのはむちゃくちゃ遠いわけですが、ALMAの解像度ならその遠くの銀河の構造……星が生まれている領域や渦巻の腕まで見ることが出来ます。また133億光年先、初期の銀河で酸素が出来ている様子も捉えているとのこと。

 最近のALMAの観測成果の中で、サクッと「リボン状の水素ガスの帯に沿って銀河やブラックホールが生まれる様子が見えてきた」っておっしゃってましたが、ものすごい大きなスケールだよな……
 松田先生ご自身はすばる望遠鏡やALMAで100億光年先の宇宙地図を作りたいとのこと。

 2つ目はYu-Ting Wu特任研究員の「天空のふしぎ -近傍銀河-」。
 英語の講演の逐次翻訳という形でしたが、内容が整理されていてとてもわかり易かったです。
 近傍銀河というのでアンドロメダ銀河あたりの話かと思ったら、りょうけん座のM51が出てきました。確かに100億光年先の銀河と比べれば1億光年以内なら十分近い。M51は光学望遠鏡で、150年前(明治維新の頃ですよ!)から渦を巻いた様子がスケッチで捉えられています。ハッブル宇宙望遠鏡ではより鮮明に、様々な形態の銀河の姿が明らかに。棒渦巻状銀河の中には棒が2つある二重棒状銀河といういうものがあり、Yu-Ting Wuさんの研究対象がこれ。

 野辺山レガシープロジェクト「COMING」では銀河の中にどのようにガスが分布しているのかを探索。これ、三鷹の特別公開でカルタになってたやつだ……
 銀河全体の構造を捉えるには野辺山45mで、細かい構造を高解像度で狙うならALMAということで、COMINGのチームもALMAを使った観測を検討しているそうです。
世界最大級の電波写真集が描き出す銀河における星の誕生過程(観測した銀河は147個になったそう)

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野辺山宇宙電波観測所特別公開2021(オンライン)

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 国立天文台野辺山の特別公開、2021年もオンラインでの開催となりました。
 野辺山宇宙電波観測所は開設当初から、誰でも施設を常時見学できるので、イベントは「一般公開」ではなく「特別公開」なのです。
# 昼間だけで年末年始は除く、です。念のため(冬の野辺山は寒いぞ)。

○特別公開日2021オンライン|国立天文台野辺山
 https://www.nro.nao.ac.jp/visit/open2021/open2021_online.html

 パソコンからHDMI端子でTVに画像を出力し、大きな画面で楽しみます。
 総合司会はもはや野辺山の顔となりつつある梅本夫妻。野辺山の現地に中継が切り替わると真っ青な空。青空に白いパラボラアンテナは見事に映えます。西には八ヶ岳の峰々もくっきり。

 午前の講演会、観測機器を作って運用するお話。チリのALMAから南谷先生がオンラインで登壇。
 野辺山の45m鏡は試験観測の開始が1981年で、2021年で40年。ただし40年間ずっと同じ望遠鏡だったわけではなく、いろんなところを常にアップデートしてきました。
 まず電波望遠鏡のシステムの話が分かりやすい。ふだん外から見えるのはアンテナですが、その後ろの部分があってこその天体観測。アマチュアで言えば、天体望遠鏡の光学系「だけではなく」、カメラや分光器や画像処理するPCの話。

 今回は主に受信機のお話。アマチュアで言えばカメラや接眼レンズを更新するようなもので、同じ望遠鏡を使っても短い時間でより良い写真が撮れたり、より良く対象天体が見えたりするわけです。
 ただしアマチュアならカメラも接眼レンズも買ってくれば済みますが、研究の先端を行くためには受信機の開発から始めないといけません。
 FORESTの場合、開発計画の開始が2008年で製作開発に3年、ファーストライトが2011年でそこから実際に計画通りの性能が出ているかどうか試験観測とアップデートに数年、本観測の開始が2015年で、その後もアップデートが続き、落ち着いたのが2017年。性能だけでなくメンテナンス性の向上とか、いろんな改良があります。

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2021年08月05日

大阪市立科学館

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 半月ぶりに大阪市立科学館のプラネタリウム。
 塩屋から乗り換え無しで行ける科学館は2つあるのですが、そのうちの一つがここです(ちなみにもう一つは明石市立天文科学館)。
 見た投影は「天の川銀河」。一般番組はだいたい2本並行して上映していますが、こちらは生解説が多めの方。実は4回目なのですが、大阪の椅子は座り心地が良いせいか、いつも途中で眠りに落ちてしまい、前回の3回目で「起きていたところをつなぎ合わせれば全部みたはず」と思っていたのですが、まだ未公開シーンが残っていました。今度こそ完全版になったはずです。

20210805osaka_scm012.jpg 大阪市立科学館のプラネタリウムは8月下旬からリニューアル工事に入ります。
 光学式投影機は2019年に新しくなったばかりですが、さて今回はどこが変わるのやら。
 「生まれ変わるホールと映像システム」ということなので、おそらくデジタルプロジェクター関連機器が更新されるのでしょう。それとイメージ図の座席の色が現在と違っているので座席にも手が入るかもしれません。よく見ると一列あたりの椅子の数も減っているようなので、少し余裕をもたせた座席配置にするのかも。もしかすると椅子の幅も少し広がるかも。
# いま以上に寝心地よくなったらどうするんだ。

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 館の外に出ると真夏の青空。それよりも何よりも、あまりの外気温の強烈さに「あつい!」と口をついて出てしまいました。

 科学館の南側にある日時計。私はいつも北側から入るので、めったにお目にかかる機会がありません。
 時刻表示はほぼ正確でした。明石より確か1〜2分は太陽の南中時刻が早いところです。
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2021年07月18日

星カフェSPICA

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 少し早めに着いたので、周りを散歩していたら「からほり商店街」に遭遇。上町台地を横切る凹地形の西端にあり、上町台地の東側に町名が残る空堀町の延長線上にありました。この商店街の名前は豊臣大坂城の総構えの空堀に由来しているのですね。


 って、街歩きをしに行ったわけではなく、星カフェSPICAです。この7月で開店10周年。もうそんなになりますか。ということで、一日の〆に天の川フロートです。ごちそうさまでした。
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大阪市立科学館 企画展「もっと知りたい!アインシュタイン」

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 大阪市立科学館の企画展「もっと知りたい!アインシュタイン」。日本や日本人とアインシュタインの関わりということで、当時の書籍や古写真や手紙やら、貴重な実物資料がたくさん並んでいます。
 自然史博物館の展示でもアインシュタインの来日が取り上げられていますが、大阪市立科学館では関わった人物や周辺事情も含めてガッツリ掘り下げてます。熱心に見ている科学ファンが多い印象でした。

20210721osaka070.jpg 大阪市立科学館恒例のミニブックが出ていたのでお迎え(実は自然史科学館のアインシュタイン展のショップで購入)。後でゆっくり目を通すつもり。お値段手頃でハズレのないやつです。

 そういえばアインシュタインは来日時、神戸港から日本に上陸しているんですよね。
 現在の第二突堤に着いてオリエンタルホテルに入ったのだというのはMASAYOさんのブログで知ったのでした。

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アインシュタイン展(大阪市立自然史博物館)

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 大阪市立自然史博物館のアインシュタイン展を見に行きました。
 以前に名古屋市科学館に行ったときにやっていたのですが、大阪に巡回してくると知って、楽しみにしていたもの。

 アインシュタインといえば相対性理論が有名ですが、ノーベル賞は光電効果の研究で受賞しています。
 今回の特別展ではアインシュタインの業績のうち「ブラウン運動」「光電効果」「特殊相対性理論」「一般相対性理論」の4つを紹介しています。
 またアインシュタインが1922年に来日した時の足跡や、アインシュタインの視点で見た日本、そして第二次大戦後に取り組んだ物理学者たちの平和を目指す活動も紹介しています。
 
 幕が開いて最初の週末ということもあり、体験型の展示はお子さんの列で大人が近づく余地がありません。解説を読むとよく練られたゲームになっていて、むしろ大きなお友だちにも遊ばせて欲しい。

 それ以外は展示は混み合うこともなく、ゆっくり解説を読みながら楽しめます。何となく分かりにくいと思われがちなアインシュタインの成果を、漫画も交えながらうまく噛み砕いて展示してました。
 この内容で解説本が出ていたら買ってました(けどなかった)。

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 展示物の中でも白眉はこれでしょうか。光電効果の関連で出展されていた、島津製作所が製作した最初期の実用レントゲン撮影装置「ニューオーロラ号」。
 斜め45度にカットした銅の円柱に電子を当てて、X線を出していたそうです。効率はあまり高くなさそうで、一枚のレントゲン写真を撮るにも相当な時間がかかったのではないかと思います。

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2021年06月26日

地質標本館

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 地質標本館は昔からあるのでつくばに住んでいるときからたまに足を運んでました。

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 初めて見ましたチバニアン。
 この地層の剥ぎ取り展示があるのはさすが地質標本館です。

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 地質標本館といえば膨大な岩石や鉱物の標本ですが、県の石がキャプションについているのも楽しいです。
 県の石が「翡翠」という反則級のかっこよさの新潟県。
 長野の黒曜石もかっこいい。

20210626tsukuba166.jpg 香川県のサヌカイトもいいですね。
 見かけは地味ですが、叩いた時の住んだ音がたまりません。音だけ聞いたら安山岩の一種とは思えません。そして讃岐にちなんだ名前がいい。

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 栃木県の大谷石はそのまま実用第一。
 ちなみに茨城県は花崗岩。真壁石や稲田石で有名なのですが、知ってる人は知っているという有名さ。石材になると少しマニアックな感じになりますね。

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 県の石は岩石と鉱物の両方が選定されていて、沖縄は岩石が石灰岩、鉱物がリン鉱石。石灰岩はサンゴ礁だからなるほど納得。リン鉱石は海鳥の糞の成れの果てなんですよね実は。

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 ここの展示はガイドしてもらいながら見学してみたいものです。
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測量と地図の科学館 企画展「一等三角点物語」

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 測量と地図の科学館の企画展「一等三角点物語」を見学してきました。
 明治維新後、三角測量や水準測量を基にした近代測量によって、改めて全国の地図が整備されます。江戸時代に作成された伊能図は当時としては極めて正確なものでしたが、測量法自体は方位と距離を繰り返し測っていく古来からのもので、広範囲の測量を行うには誤差が累積しやすいものでした(これを天測と組み合わせて高精度で成し遂げたのが伊能図の凄いところ)。

 三角測量を全国で行うためにまず設定されたのが一等三角点です。およそ45km間隔で全国を覆うように設けられ、その後に約25km間隔で設けられた補点と合わせて974点が設定されました。その後、より網目を細かくするように二等三角点や三等三角点が設けられていきます。
# 時期によって増減はあるのですが、2020年現在の一等三角点の数が974点。

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 展示されている一等三角点の標石。横倒しの状態で「ぜひ持ち上げてみてください」という体験展示です。標石は上部のみで86.9kgあるので、床から少し浮かせるだけでも大変。

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 ちなみに常設展内に立てた姿の展示があります。地面の上に出ているのはほんの一部で、地下深く埋められているのです。

 一等三角点の標石は小豆島産の花崗岩。展示パネルには産出地の記した地形図まで掲示していました。こんな情報まで出したら三角点マニアが現地まで行っちゃうぞと思ったのですが……

20210626tsukuba020.jpg なんと2015年に「事実上最後の標石製造の発注」が終わっていたのでした。
 三角測量も過去のものとなり、今や衛星測位やVLBI測量の時代となりました。既存の三角点の位置は測っていくのでしょうが、新たな三角点が設けられることはないのでしょう。少し寂しいですけど、衛星測位の登場で迅速に精度の良いものになっていますから、それもまた時代の変化。

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 一等三角点同士は約45km離れているので、いかに見通しの良い場所を選ぼうとも、直接、三角点の標石を視認するのは困難です。
 そのため標石の直上に高覘標という櫓をたてて、互いの位置を測定しました。小さなもので3mほど、大きなものでは30mもあったといいます。こうした構造物を立てる必要があるので、三角点は必ずしも山の最高点にあるわけではなく、見通しがよくかつ作業しやすい場所を選んで置かれます。
# 宮沢賢治『銀河鉄道の夜』に出てくる三角標がこの櫓です。

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 相手の三角点の方位を測定するために使われたのが経緯儀。こちらも一等・二等・三等があり、等級が上になるほど大きく測定精度も良くなります。一方で小型のものほど可搬性に優れ、厳しい地形条件の下でも使うことが出来ます。新田次郎の小説『劔岳 点の記』に登場する柴崎芳太郎測量官が携えていたのは三等経緯儀だったそうです。

 カールバンヘルヒはドイツのメーカー。明石市立天文科学館に天測に使われた「バンヘルヒ子午儀」が展示されていますが、同じメーカーだと思います。

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2021年06月24日

コスモプラネタリウム渋谷

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 渋谷を通過するからにはコスモプラネタリウム渋谷です。
 19時の回のチケットを購入したのですが、18時40分過ぎまで私の買った1枚しか出ていなくて、まさか渋谷で貸し切りかと恐れ慄きました。生解説のある投影で貸し切りって、ちょっと経験がありません。幸いなことに開演直前になってお客さんがパラパラと増えました。ホッ。

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 村松さんの投影だったのですが、この日は朝一番の飛行機に乗るために5時前に起きたので、さすがに持ちませんでした。世界各地の星空をめぐる投影だったのですが南十字星とオーロラしか記憶にありません。いや、ハイライトはしっかり見ていたということになるのかな。

 冒頭の写真、6回分のチケットがあれば記念の手ぬぐいを頂けるそうです。
 2010年の開館からなら軽く10回は越えているのですが、過去2年ほどに絞ると上京の機会そのものが少ないだけになかなか難しい。地元の方を想定したプレゼントなのでしょう。素敵なデザインなのでもらえた人が羨ましいです。いいなぁ。
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2021年04月08日

小牧中部公民館プラネタリウム

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 小牧中部公民館プラネタリウム。ブラック星博士が幾度となく遠征しているので知ったプラネタリウムです。私が訪問するのは初めて。
 投影機は五藤光学GX-AT。1982年から稼働するベテランですが、電球色の星空はなかなかシャープな星像。この時代の投影機は星の数を欲張っていないぶん等級の差が分かりやすく、派手さはないながら基本をしっかり押さえている安定感があります。

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 プラネタリウムがあるのは公民館の5階。建物は公民館の他にもいろいろ入っていて複合文化施設のはしりというところ。
 小牧山城の敷地から歩いて5分くらいの場所ですが、前に城へ行った時は違う筋を通ってしまい、気付きませんでした。

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 平日の投影は15:30〜の1回のことが多く、ファミリー向けの内容。キャラクターもので「名探偵コナン」「しまじろう」、全天周映像で「ハナビリウム」が日替わり的に設定されていて、「しまじろう」の日に当たりました。世代的に縁の薄い作品(汗)

 全天周映像を投影するプロジェクターの配置がうまいのか、光源の明かりが直接視界に入らず、投影機の影も背面になる北側で普通に見ていれば気になりません。
 全天周映像と組み合わせることでベテラン投影機もまだまだ現役で頑張れるのはいいなと思います。

 前半の星空案内は今となっては珍しいオート番組。かつてのオート番組というとスライド駆使の電気紙芝居的な演出でしたが、現在は全天周映像で表現の幅も広がり、時代に応じて水準が上がているなと感じました。

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