2025年10月01日

ピッコロ劇団「火のようにさみしい姉がいて」

 ヤバそうな人ばかり出てきて気味の悪い展開が続くのだけれど、なにが真実でなにが虚構なのか、話が通じてないのか話は通じているのに掻き回されてるのか。コンパクトで客席との距離が近い中ホールで、密度も熱量も高くて押し切られるように面白かった。
 終演後のカーテルコール、なんかすごいもん見た感が客席に満ちていて、あれは劇場ならではだなあ。

https://piccolo-theater.jp/event/23037/

兵庫県立ピッコロ劇団第83回公演 「火のようにさみしい姉がいて」感想まとめ(isobesatoshiさん)
https://posfie.com/@isobesatoshi/p/cMymNfk
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2025年07月20日

映画『海が聞こえる』

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 日曜日の朝っぱらから早起きして映画。スタジオジブリの作品ですが、見たのははじめて。
 もともとTV用のアニメとして製作されたもので、1993年5月5日の16:00-17:25放送だったそうです(Wkipedia情報)。こどもの日の休日とはいえ夕方の時間帯で、当時からあまりTVを見てない生活でしたから、放送自体を知らなかったと思います。

 少し絵が粗いと感じたのは年代以上にTV用に作成された経緯もあるかもしれません。
 とはいえ丁寧に描かれた風景は若手ながらもジブリ作品ならでは。様々な平成初期の風物が次々と映り込み、懐かしいやら時代を感じるやら。清涼飲料水の缶のデザインとか、無造作に置かれた雑誌の「ぴあ」とか。そんな意図は全くなかったと思うのですが、時代を閉じ込めた箱をうっかり開けてしまったような感覚に包まれます。

 それにしても高校を卒業した夏の同窓会を堂々と居酒屋で行ってるのは、当時はそれが珍しくなかったとはいえ(なにせ夕方のTVで流してたくらい)、今では許されません。R12指定(親同伴)扱いになっているのもおそらくこのせい。いちばん時代を感じたのはそんなところというのが、面白いやらしようもないやら。

 登場人物たちはおそらく近い世代ですが、その場の勢いで飛行機に乗って上京しちゃうとか、そんな大胆な行動力はなかったなあ。拓も松野もいい奴で、それはいま観てもそう思うのですが、当時観たらどんな感想を抱いただろう。

 朝7時50分からの上映で、こんなに早く映画館にいくのも初めてで新鮮でした。上映が終わっても9時を少し回った程度で、まだ人の少ない街を余韻に浸りながら歩くのもよいものでした。
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2025年07月06日

映画『この夏の星を見る』

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 天文部を舞台にした話というだけで劇場へ足を運んだのですけど、すっかり心を撃ち抜かれて、上映後はすぐに席を立てないありさまでした。

 原作は辻村深月の同名小説。2020年のコロナ禍の時期の高校生・中学生を描いた作品で、元は新聞連載だったそうです。
 たかが5年前なのに、その5年前の世界を覆い尽くした息の詰まる日常は、すでにすっかり遠くのものになっています。それでもきっかけがあればすぐに思い出せる今だからこそ、の作品。
 そしてコロナ禍を生きる人々が縦糸なら、人を結びつける横糸が星空。みんなで星を眺めた経験のある人なら刺さりまくります。茨城で東京で長崎の五島で、それぞれの場所で始まり、つながる群像劇は、時代を超えても色あせないもの。
 初回見た時は最初の5分で涙ぐんで126分中90分くらい泣いてました。

https://www.konohoshi-movie.jp/

 自分が星好きというのは切り離して観ることができないのですけれども、望遠鏡で手動で天体を導入していく場面がほんと雰囲気出てて好き。観れば観るほど細かい描写に唸らされます。
 映画の演出上、強調して描かれている見え方はあるのですが、基本的な天文描写はしっかりしているので個人的には納得できる範囲。満天の星は星が見えすぎですけど、一般の方がイメージする空いっぱいの星はあれくらいなんだよなあ。
 劇中で出てくる自作の望遠鏡作りも手動の天体導入もだいたいやったことがあるので、それぞれの場面が「分かる分かるそうそうそんな感じ」。天体導入のスピードを競うコンテストがあるのですが、明石の街中でやったら上位に入る自信はあります。初心者相手に大人げないことをせずに審判やれと言われそうですが。

20250709_kononatsu007.jpg 原作小説を読んだらこれがまた素晴らしく、通勤の電車や職場の昼休みに涙ぐんで大変なことに。そしてそれから改めて2回目も見たのですが、文庫本上下2冊を2時間の尺に収めるためにほんと上手く再構成してある。映画オリジナルの場面も違和感なくはまり込んでいて、小説も映画もともに素敵な作品になっています。私は映画を見てから原作を読みましたが、これは逆でも大丈夫。

 公開規模が小さく、上映館も少なかったのですが、仕事帰りに行ける映画館でかかっていたので、7月中に4回観ました。大写しになる星空はスクリーンで見てこそ映えるというもの。気に入った映画を2回見るというのはたまにあるのですが、3回以上というのは『この世界の片隅に』以来だったなあ。
 4回目となると周りの人が次々と涙腺やられていくのを感じながら余裕かまして観てましたが、分かってても良いシーンは良い。

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2025年05月31日

ピッコロ劇団「新天地へ〜ある移民の物語〜」

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 一般向けの初回公演を見てきました。
 むっちゃよかった。素晴らしかった。

 アイルランドの小さな村からアメリカを目指そうとする若者たち。海の向こうが今よりずっとずっと遠い時代。今生の別れを覚悟して送り出した時代。

 親子、兄妹、親類、恋人…相手を思えばこそ葛藤があり、甘えもあり。
 葛藤の末にそれぞれが導き出す選択。新天地を夢見る若者の心意気やよしですが、世紀を跨いで、元号も3つ跨いで生きてると、村に残る人、村から送り出す側の思いこそ心に染みる。
 不器用にぶつかりながら互いの関係を築き直す姿がいちいち涙腺に刺さってくる。

 オープニングのダンスがむっちゃカッコいいし、ところどころに挟まれるアイルランドの歌や踊りがまたいい。ロンドンデリーの歌、ほんと素敵だった。
 こういうのみせてくるからピッコロ劇団油断ならん。

 ピッコロ劇団はちょうど一年前の「あしあとのおと、ものがたり」を、勧められるがままに軽い気持ちで見に行って心を鷲掴みにされたのですが、今回の「新天地へ」は真正面からの群像劇。それだけにいろんな人が楽しめると思います。続きを読む
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2025年02月21日

ピッコロ劇団「神戸わが街」

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 兵庫県立ピッコロ劇団 の「神戸わが街」。今回は金土日祝の公演でしたが、前から週末・連休の予定が確定していたので、初日の初回夕方の公演だけしかチャンスがありません。今回は19時開演だから仕事帰りでもなんとかなるのが助かる。

 ピッコロ劇団のお芝居は3回目なので役者さんの顔と名前もだんだん分かるようになってきて、この人ここにあてたんだとか、この人この役なんだとか。ちょっとわくわくしてきます。
 見慣れない人が存在感を発揮していて、あとからパンフレット見たら客演の役者さんだったり。

 毎日の暮らしに目の前の出来事、自分の小さなわがままと周りの小さなちょっかいのやりくり。みんな好き勝手に生きてるけど、小さなドタバタを交えながらも身の回りのくらしは回っていて、それがそれぞれみんな楽しい。
 この世に生きていることそのものが素敵で素晴らしいこと。ふだんは意識していなくとも、きっとみんな気付いていると思うんですよね。いつも全く気にしてないけど。

 それにしてもピッコロ劇団、いつも劇場を出て家路につく頃にじわじわ来ます。今回もそんなお芝居でした。

20250221kobewagamachi005.jpg 今回はいつものピッコロシアターではなく、西宮北口の兵庫県立芸術文化センターでの公演。長年兵庫県民やっていて、西宮北口は通勤で通過していた時期もあるのですが、芸文センターに入るのは初めてでした。立派な施設でびっくりしたよ。舞台が変わると雰囲気が全然違うんだな。
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2025年01月25日

映画「港に灯がともる」

 シネ・リーブル神戸で「港に灯がともる」を観てきました。
 震災と在日コリアンという決して軽くないテーマに向き合う作品で、見ている間に何度も心の底まで気持ちを押し込まれる思いになりました。
 それでも観終えて、いま観てよかったと思えた映画です。
 重たいだけでなくて素敵な場面もたくさんあるのだけど、書いたらネタバレになる……
 震災を知っている世代にこそおすすめしたい作品。
主演の富田望生さんはすごい

映画「港に灯がともる」公式サイト
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2025年01月24日

六甲山大学「山と、純文学への誘い」

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 ミント神戸にて松永K三蔵さんのトークイベント。
 2024年に『バリ山行』で第171回芥川龍之介賞を受賞したばかりの小説家です。『バリ山行』の舞台は六甲山系で、地元の山ということで、出てくる風景が読んでいて目に浮かぶ作品。もちろん読みましたとも。

 松永K三蔵さんは茨城県の出身ということで、あとでお話ししたときに聞いたら水戸の生まれで日立で子供時代を過ごしたとのこと。その後は西宮に引っ越しでほぼ関西育ちといっていいほどですが、茨城出身の兵庫在住ということで何となく親近感。
# 親近感は勝手に抱けますが、逆立ちしても小説は書けませんよ私。

 来場者の半分くらいが山好きで、文学好きは1/3いたかどうかという客層。さすが六甲山麓。
 芥川賞の方なので難しい話だったらどうしようと思っていたのですが、山と純文学の通じる点を面白く、でも腑に落ちる解き口でお話し頂きました。
 でも会場からの質問で松永さんの好きな作家というのがあったのですが、直球ど真ん中の純文学の方ばかりで流石としか。私が読むのは直木賞系列のほうだからな。

 とはいえ「オモロイ純文学」を掲げてらっしゃるだけ合って、『バリ山行』は面白かった。単行本化は後になりましたが、『カメオ』もぜひ読みたい。

 この日の様子が神戸新聞で紹介されていたので、貼っておきます。
〈六甲山大学〉【根岸真理が案内 山の四季便り】小説「バリ山行」ルートへ(2025.2.17 神戸新聞)
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2025年01月20日

劇場版「その街のこども」

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 『その街のこども』劇場版、シネ・リーブル神戸でみてきました。
 元はNHKのテレビドラマで、制作は2010年の震災15年。でもその時は見ていなくて、私が見たのはしばらく後の再放送です。

 ラストシーンの東遊園地、2010年の当日の朝に現地で撮られたものです。
 あのつどいが始まった初期の数年間、籍を置いていた団体でスタッフに入ってたので、その朝の雰囲気は知らないわけではなく、当日にドラマの撮影をすると新聞で読んで、無茶するなぁ、大丈夫なのかなぁと他人事のように心配したのを覚えています。
 監督の井上さんと音楽の大友さんは2013年前期の朝ドラ『あまちゃん』を生み出すのですが、あとから『その街のこども』に関わられていたことを知って、『あまちゃん』の人たちなら大丈夫と再放送を見たのでした。

 劇場版が上映されているのも知っていたのですが、上映場所が大阪だったり、上映時間のタイミングが合わなかったりで、見るのは今回が初めて。テレビドラマ版からしても10年ぶりかそれ以上になります。
 テレビドラマ版の時はそんなことなかったのですけど、途中なんども気持ちが折れそうになりました。私自身は地震も震災直後の大変な時期も知らないので、そんなに感情移入しなくていいはずなのですけど。
 何とか乗り越えて最後まで見ました。

 でもね、いい作品なので、機会のある方はぜひ。
 とても真摯につくられた83分です。

 それにしても震災15年からさらに15年経つと、スクリーンの中の神戸の景色がまた昔のものになっていて、それもまた年月を突きつけられたなあ。

その街のこども 劇場版(シネ・リーブル神戸)
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2024年09月22日

機動警察パトレイバー劇場版(リバイバル上映)

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 機動警察パトレイバー劇場版、映画館でリバイバル上映をやっているというので観てきました。
 ビデオで何度も観ているので話は知っているのですが、スクリーンで観るのは初めて。
 すっかり引き込まれて手に汗握る思いでドキドキしながら観てました。

 学生時代に友人に勧められて観たのですが、いま検索したけど1989年の作品……ということは平成元年!? そんなに古い作品だったのか。
 まだCG作画がそれほど広まっていない時期なので、例えばコンピュータの画面が手書きアニメ風味だったりしますが、内容自体はほとんど古さを感じません。時代設定が1999年だから、作中に描かれているのはもう「25年も前の出来事」。
 ただもう、野明や遊馬の視点では見ることが出来なくて、彼女彼らの行動を見てると若いなぁと思ってしまう。後藤や南雲の側に入るほどの大人になったとも思えないのですけれど、視点はそっちよりですよね。描かれている大人の駆け引きも理解できるようになってしまったり。
 劇場版の1作目は、楽しさとシリアスさのバランスが絶妙で、本当に面白い。
# 2作目はクセが強くて、面白さという点では見る人を選んじゃう。

 こういうのを観るとすぐにプラモデルなど欲しくなるのが悪い癖ですが、「むかしバンダイから出てたの作ったよなー」と模型屋へ行ったら既に店頭になく、アオシマとグッドスマイルカンパニーから出ているのはいいお値段でした。グッスマ版が3千円台後半、アオシマ版が6千円台後半だったかな。完成見本を見たら今風にカッコいいのですけど……まあパトレイバーはガンプラのように数は出ないだろうし、組もうというのは大人層だからこういう価格設定になるのだろうな、
# 個人的には小さくても稼働を無視しても1/144スケールで欲しい。
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2024年09月16日

ピッコロ劇団「宇宙に缶詰」

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 缶サット級の系外惑星探査機に搭載された、技術者の脳を丸ごとコピーしたコンピュータチップ。目的の惑星に到着したのは数十数百年の先(のはず)。地球にいる本人も、その周りの人たちも、とうに過去の人になっている(はず)。脳のコピーのデータは惑星の観測データと共に地球に送信されて、探査機内のデータは消去されるはずなのに、消えないままに残ってしまい……

20240916piccoro003.jpg SFなのにノスタルジックな雰囲気なのは、チップに刻まれた人々の記憶が地球を発った時以降は更新されないゆえか。
 「脳を丸ごとコピー」が相当に優秀なコピーで、記憶も曖昧になっていたり、思い出せない部分があったり(そこまで再現しているのは相当な技術のはず)、おかげで物語もなんだかこんがらがって進みます。

 果てしなく続くレンジャーごっこ(爆笑)。いつまで戦隊もの見てたのだこの人は。
 話の着地点が見えないまま進むので、どうするんだこれと不安に駆られながら観ていたのですが、ラストシーンの演出で全てまとめて持ってかれました。いいもの観ました。

20240916piccoro005.jpg とにかく宇宙に人格だけ放り出したらあかん。チラシを見たときに、それはやっちゃまずいだろうと思ったのですが、自分なら耐えられん。劇としては面白いけど、想像するだに恐しいぞ(^_^;
 脚本を売っていたというのは後から知ったのですが、これは読んでみたいなあ。いろいろな解釈が出来そう。

 劇場を出て見上げる空に、毎回、ほっと一息つきます。
 「世の中は 夢かうつつか うつつとも夢とも知らず ありてなければ」
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