2017年10月04日

映画「Hidden Figures(邦題:ドリーム)」(増補)

 映画「Hidden Figures(邦題:ドリーム)」観てきました。

 マーキュリー計画の一側面を描いた作品ですが、56年前のアメリカを生きて社会と人生を切り拓いた人々の物語として素晴らしいです。宇宙開発のことを知らなくても、楽しめる作品です。

 映画の主人公はマーキュリー計画時のNASAに勤務していた3人の黒人女性。
 担っていたのは計算業務。マーキュリー計画が進行していた1960年当時、まだ電子計算機の黎明期で、宇宙船の軌道計算は計算尺や機械式計算機を使いながら、人の手で行っていました。

 主人公たちはそれぞれ才能に恵まれた人物ながら、黒人だから、女性だからといった有形無形の理不尽な扱いに容赦なく晒されます。時に盛大に愚痴をこぼしながら、彼女たちは前へ進み続ける。気負いではなく、実力で道を切り開く。

 原題の「Hidden Figures」は直訳すると「隠されていた功労者」になりますが、figuresは「計算」の意も重ねているのでしょう。

 今年観た映画では個人的にいちばん。
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2017年09月28日

映画「ダンケルク」

 第二次大戦初頭。ドイツ軍の破竹の進撃にフランス北端の港町、ダンケルクに追い詰められた英仏連合軍40万人が、イギリス本土へ撤退する「ダンケルクの戦い」の様子を描いた映画。

 ダンケルクの撤退戦は成功した作戦といわれています。でも海岸で撤退を待つ兵士も桟橋に横付けした船も桟橋自体もほとんど無防備。スツーカやHe111に桟橋も船も空襲を受け、どんどん被害が拡大します。痛快な話では全くありません。

 疲れる映画でした。のっけから終盤まで緊張感がノンストップ。音楽もまたそこはかとなく不安と緊張感を高めます。「プライベート・ライアン」は間断なく飛び交う銃弾ですが、「ダンケルク」は救出を待つ、あるいは救出や援護に向かう緊迫感。
 2時間弱の映画ですが、途中で早く終わらないかなーと思ったくらい(つまらないわけではなくてしんどい)。
 場面場面はすごくいい。特にスピットファイヤ最高!
# 物語的な要素は意図的に少なくしているので、見る人を選んじゃうかもな―。
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2017年09月14日

映画「劇場版 タイムスクープハンター」

 ビデオにて視聴。
 NHKで放映されていた「タイムスクープハンター」の劇場版。
 「歴史上の名もない人々の生きざまを記録するジャーナリスト」の設定で、様々な時代の教科書に乗らないような出来事をドキュメンタリー風のドラマで再現して人気を得た番組。
 時代劇は例えNHKの大河ドラマであっても、現代人に受け入れやすいような設定の改変が行われています。たとえば女性。明治以前の女性の既婚者はお歯黒・引眉をするのが普通でしたが、一般的な時代劇ではそこまでやりません。そこまでやっちゃうと感覚的に変と思ってしまうからです。

 ところがタイムスクープハンターはその辺りもきっちりやる。庶民はドロドロに汚すし、服装も下々の人だともうちょい隠せと思うくらい布が少なかったりします。もちろん娯楽作として事件も起こればスリリングな展開もあるのですが、さじ加減が絶妙でした。

 劇場版ということで、みたいなと思いつつ、上映期間を過ぎてしまった作品。
 後からネットの評価を見ると、5点満点の2点台後半から3点程度という微妙な評価。

 うーん、どうしたものかと思ってみたら、いやいや、面白かったです。
 導入部での設定の説明が最小限なので、TVシリーズを見ていた人ならすっと入っていけると思うのですが、そうでない人には作品世界に入れるかどうかがまず壁になってしまったのかも。

 本編はタイムスクープハンターの世界そのまま。TVシリーズのエピソードとのつながりも盛り込まれて、タイムスクープハンターファンのための映画という感じ。これはこれでありだと思います。
 TVシリーズも傑作なので、未見の方はぜひ。
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2017年09月13日

WOWOWドラマ「大空港2013」

 ビデオにて視聴。
 WOWOWで放映された三谷幸喜監督・脚本の映画。
 最初から最後までノンストップのコメディーで、登場人物すべてが素直じゃない(けど極悪人でもない)。
 主人公が関わった一家全員が秘密か何かの事情を抱えているのですが、しかしこの家族どうなるんだろう。意外に仲良くやっていくかもしれないとも思えちゃう。

 三谷幸喜は大ファンてわけではないのですが、ハズレを引いたことはないです。好きだなあ。
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2017年09月12日

映画「舟を編む」

 ビデオにて視聴。
 国語辞典の編纂に携わる人々を描いた映画で、タイトルは辞書を言葉の海を渡る船に見立てたものです。

 物語のスタートは1995年。まだPHSが珍しかった時代。
 なんでまた中途半端な過去が起点なのか、あとから思い知ることになりました。
 国語辞典の編纂は大変な年月のかかる作業で、三省堂の「大辞林」は編集開始から発行まで28年かかったといいます。劇中で編纂される「大渡海」は十余年。

 二十代前半で就職して六十代で退職するとして、職業人としての人生の大部分を割く仕事になります。
 長い期間のことですから、辞書の編集部も去る人あり、来る人あり。
 今どきここまで長いスパンの仕事ってなかなかないですから、まずそのことに圧倒される思いでした。

 映画の中では一エピソードとして紹介されていましたが、辞書の紙も専用の用紙を開発するのです。あれだけのページ数ですから、薄くて、裏写りせず、しかもめくりやすく、目が疲れない色合い……なんだこの厳しい要件は。

 松田龍平が面白いのと(あまちゃんのミズタクといい、ちょっと変わった人をやらせるとほんとうまい)、あと宮崎あおいが可愛いです。

 国語辞書で印象深いのは三省堂の「新明解国語辞典」と岩波の「広辞苑」。
 「新明解」は小型の国語辞典で、中学の国語の先生に勧められて購入。高校時代まで使いました。まさか後になって用例の面白さで注目されるとは思いもしませんでした。あの国語の先生、新明解のファンだったのかもしかして。中高生の時期を共に過ごしたので、人生で一番引きまくった国語辞典です。
 「広辞苑」は大学入学時に購入。入学祝いに頂いたお小遣いで買ったのですが、中型国語辞典の押しも押されぬスタンダードで、本棚に並べて、一端の学徒になった気分になったものです。「広辞苑」は第五版の外箱が藤井旭さんの銀河の写真をあしらったデザインで、今から思えば買っておけばよかった。
# 現在は第六版です。およそ10年に一度改定されているのでそろそろ第七版の時期かも。

 今となってはネットの検索で辞書の言葉を引けるので、紙の辞書を引く機会も激減しました。ただ形は変わっても辞書は辞書。今もどこかで次の辞書を目指して改定作業を進めている人がいるのです。

 辞書すごいわ。
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2017年09月11日

映画「清州会議」

 ビデオにて視聴。
 三谷幸喜の小説版は読んだのですが、これは映画のほうが圧倒的に面白い。
 大泉洋の羽柴秀吉がいい。「真田丸」の前にすでにこれだけの演技をしていたのですね。

 清州会議に関わったメンバーのうち、柴田勝家は後に秀吉に敗れて自刃。織田信孝も秀吉に攻められて自刃。その秀吉も天下は取るものの子の秀頼の代で滅亡。織田嫡流の三法師は関ヶ原で西軍に与して改易、継嗣がなく断絶。

 丹羽長秀は秀吉の下で越前若狭加賀を領する大大名となるものの、子の長重の代に謀反の疑いをかけられ大減封。さらに関が原で西軍に与して改易されますが、陸奥白河10万石の大名として復帰。のち二本松10万国の大名として幕末を迎えます。
 池田恒興は後に小牧・長久手の戦いで戦死、子の輝政は後に姫路に封され、現在の姫路城を築きます。子孫は後に岡山藩と鳥取藩に封され、西国の大大名として幕末を迎えます。
 滝川一益は賤ヶ岳の戦いで柴田勝家に与して失脚。子孫は徳川の旗本となります(池波正太郎「真田太平記」の主要人物の一人として登場します)。
 「バカ殿」織田信雄は秀吉に改易され、関ヶ原でも西軍に与したとして改易され、その後も豊臣家に仕えますが、大阪の陣の前に徳川に付いて生き延びます。現在残る織田家の子孫は信雄の系統です。

 なんというか、諸行無常です。
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映画「超高速! 参勤交代」

 ビデオにて鑑賞。
 参勤を終えて帰参したばかりの小藩が、5日で江戸に参勤せよと無理難題をふっかけられるお話。
 2014年の邦画興行収入19位とまずますヒットした作品で、なるほど傑作。

 あとで調べたのですが、湯長谷藩も殿様の内藤政醇も老中もみな実在の藩で実在の人物。もちろん物語は架空のものですが、面白い設定をしたものです。

 娯楽作だからツッコミは野暮というものですが、元茨城県民として突っ込まざるをえないのは、湯長谷藩のあるいわき湯本から江戸に上るなら、山道なんぞ通らずに普通に水戸街道を通るのが一番早いぞ!
 だいたい牛久や藤代の近くにあんな深い山や渓谷があるか!
 あそこまで白々しく地理無視してくれるといっそ清々しく面白かったです。

 しかし江戸市中で譜代大名と公儀隠密が市街戦て。あまりの無茶苦茶さに笑いが止まりません。
 これくらい振り切っちゃえば、振り切った方の勝ちですわ。

 唯一惜しむらくは挿入歌。タイアップなんだろうけど作品の雰囲気と繋がらないJ-POPなのがもったいない。
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2017年09月02日

映画「トリガール!」

 映画「トリガール!」観てきました。

 鳥人間コンテスト経験者のライター、大貫剛さんが好意的な評を書かれていたので、ならばと思い立った次第。

 まずまず面白かったです。
 主人公の女性はパイロットとして将来有望な身体能力を発揮するのですが、それは高校3年間片道20kmの通学路をママチャリ漕いで通いぬいたゆえ。私も高校時代は片道22kmの自転車遠距離通学やってたので、その時点で主人公に共感しちゃいます。もっとも私2・3年次は原付免許を取ってバイク通学でしたけど。

 ノリは比較的軽めなのですが、筋の通った映画になっています。後半のフライトシーンも飽きさせない面白さ。
# 追記)これみて自転車乗りたくなって、一週間後にロードバイク買ったとさ。
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2017年04月29日

ひよっこ

 NHK朝ドラの「ひよっこ」を観てます。
 この土曜日で奥茨城編終了。期待しないで見始めたドラマでしたが、どっぷり浸かってしまいました。
 
 茨城が舞台、高度経済成長期の集団就職、ヒロインは有村架純という時点で、ぜんぜん期待していませんでした。
 NHKの朝ドラは新進の女優を起用することが多いので(例外も多々ありますが)、別作品とはいえ朝ドラで売れっ子になった有村架純を使うのは新鮮味がない。
 高度経済成長期を扱うのも今さらという感で、今回の主人公は何かになりたいわけでもなく、家庭の事情で稼ぎに行くための上京。先の展開の芯になるものがまったくない。
 茨城はただでさえ「魅力度ランキング47位」なのに、奥茨城は本当にただの農村。伝統芸能もなければ面白い祭りもない。谷田部家もただの稲作農家で父ちゃんも母ちゃんも地元の出身。これでどうやって話を作るんだ。

 と思っていたのですが、完全に裏をかかれました。
 基本的には普通の人々の普通のくらししか描いていないのですが、日常生活の中のちょっと嬉しかったり、ちょっと不安だったり、ちょっと素敵だったり、ちょっと悲しかったり、そんなエピソードを拾ってつなげて重ねて、奥茨城の人々の心根と人のつながりをふんだんに描き上げました。
 主人公と幼馴染とその家族にはすっかり思い入れを持ってしまったなあ。奥茨城編終盤はほとんど毎日、涙腺突っつかれてた気がします。

 あと個人的にはテレビからお国言葉が聴こえてくるのが面白い経験。
 奥茨城村は茨城県北西部の設定ですが、方言はおそらく県央(水戸の辺り)を元にしたクセのない茨城弁になっています。どこの方言でも細かい地域差はあり、県北の言葉を完全再現すると県南の私でも聞きにくい言葉があるかもしれません。まして他地域の人には字幕のいるドラマになってしまうと思うので、雰囲気が分かる範囲にアレンジするのは理解できます。

 今作の出演陣の茨城弁は総じて雰囲気が出ていて、たまに「ああ、こういう言い回しするわ」とハッと懐かしくなることが多々あります。羽田美智子の茨城弁が抜群にこなれてて、何でだと思って調べたら私の田舎の隣町の出身でした。ネイティブなら仕方ない。
# とはいえ県央の言葉と違うので方言指導で直されることがあるそうです。

 父ちゃん役の沢村一樹の茨城弁もいい感じだなあと思っていたのですが、こちらは芸人の赤プルのネタを聴いて覚えたそうで、赤プルも私の田舎の隣町の人なのです。何ていうか、自分の耳でも細かい差を聞き分けているのがびっくりです。

 主人公と幼馴染の2人の関係が、家族模様も含めて丁寧に描写されてきただけに、舞台が東京に移って、奥茨城の出番が減るのがちょっと寂しくもあります。東京編も引き続き面白いドラマでありますように。
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2017年04月16日

おんな城主直虎 その3

 女性が主人公の歴史もの大河ドラマは難しいのですが、今作は健闘しています。面白いです。

 それにしても井伊家。
 素直で単純で他人の裏を読むことは出来ない人たちばかりで、だからこそ地域では気のいい領主で、だからこそこうした小さな国衆が戦国の世で滅んでいったのだと分かりやすく示してくれます。知恵者兼憎まれ役担当の小野但馬も、井伊家だからこそ目立つ存在で、他家だと名もない一家臣レベルの人物です。
 昨年の「真田丸」の春日信達や室賀正武に当たるのが今回の井伊家なのでしょう。一族がみな優秀な人材だった真田家と違って、一族がみな普通の人だった井伊家。赤備えで名を馳せた両家ですが、2年続けての戦国もので、鮮やかな対比を見せています。

 直虎こと次郎法師はとにかく何の力もない主人公で、城主になるまで、いや、城主になってもしばらくの間は井伊家をめぐる重要局面で表立って活躍していません。それがまた現実に即した感じで面白い。
 長年お寺にいたおかげで、政治行政の経験値がゼロ。城主になってもミス連発トラブル続発で、そりゃ領主の娘ってだけで一族郎党を率いるのが無茶だというのが痛いほど分かるシナリオです。ていうか年末まで井伊家が生き延びることが出来るか毎週心配になるレベル。
 そんな中で子ども時代や出家時代のエピソードを拾いながら城主編の「直虎らしさ」を積み上げているのはシナリオの妙。

 井伊直虎はとにかく記録の少ない人ですが、今回はそれを上手く逆手に取っています。
 徳政令やら逃散やら、歴史の教科書に出てくるような庶民レベルの出来事を丁寧に描いて、中世社会を描き出しています。タイムスクープハンターを大河ドラマでやってる感。これ、歴史好きの人には面白いと思うのですけど、一般視聴者層はどうなんだろうと心配になります。

 第16回の予告編で寿桂尼さま倒れてたなあ。ていうことはそろそろ今川も。あぁ。
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