日本通運関西美術品支店の村井課長と奈良大学文学部文化財学科の大河内教授の講演+対談。
大河内先生は和歌山県立博物館の学芸員を勤めていらした経験があり、文化財を運ぶ日通と運ぶのを依頼する学芸員の両側から文化財の輸送に迫るお話でした。
村井さんはいかにもお仕事の紹介という話しぶり。
文化財の輸送というと運び出してトラックに乗せて目的地に届けるまでのお仕事と思っていたのですが、実は展示までもが仕事の範囲に入るそうです。確かに玄関で受け取って終わりというものではなく、所定の場所に設営するまでがお仕事。
手続き、特に海外とのやりとりの部分も意外なところに意外な手間暇がかかり、例えば関税(百年以上経過した骨董品なら免税)や消費税(所定の手続きを経て一年以内に返却するなら免税)の扱い、ワシントン条約の話(掛け軸の軸に象牙を使ってる美術品など条約締結前に作成されたことを証明する必要がある)とか、なかなか大変。
私の興味では輸送手段の乗り物の話。美術品専用車は、学芸員が同乗できるダブルキャブの後席があり、荷物室はエアサス+空調付きであるとか。
個人的には海外からの美術品の輸送に飛行機を使っているのが不思議でした。なにせ飛行機は事故が起こったら全損必至です。時間がかかっても船の方が安全なのでは、と。
ところが船は船で、長い輸送時間の間に戦争やテロに巻き込まれたり、時化でコンテナが水没したり、こちらはこちらで大きなリスクがあります。飛行機は移動時間が短く、事故率が圧倒的に低いので、海外からの輸送はほぼ飛行機が標準になるのだそうです。なるほど納得。
2時間半の企画でしたがあっという間で、後半の対談や質疑も面白かったので3時間くらいの尺でもよかったのですが、さすがに一般向けの企画だと長過ぎちゃいますね。