2025年10月13日

日本最古の石博物館(岐阜県七宗町)

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 岐阜県七宗町にある日本最古の石博物館を見学してきました。

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 七宗町の飛騨川沿いに見られる上麻生礫岩。
 礫岩自体はジュラ紀(約2億年前から1億4500万年前)に堆積したものですが、これに含まれる礫の中にある花崗片麻岩が20.5億年前のものと測定され、確認当時は「日本最古の石」とされていました。
# 細かく言うとマグマから花崗岩になったのが20.5億年前で、変成作用で片麻岩になったのが17〜15億年前。

20251013hichiso068.jpg ジュラ紀の頃はまだ日本列島は大陸の一部で、上麻生礫岩は大陸の岩石が削られて礫となり、川から海へ運ばれて海溝付近でたまったもの。花崗片麻岩は朝鮮半島北部に同じような年代のものが分布していて、このあたりの岩体が起源ではないかと考えられています。
# 六甲山地あたりの花崗岩がざくっと1億年前くらいなので、一桁違う古さ。

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 実はその後、2019年になって広島大学の調査で島根県津和野町の花崗片麻岩が25億年前のものと判明。日本最古の石のタイトルは移ってしまいます。
 ただ津和野町と広島大学からこの25億年前の花崗片麻岩の標本が「日本最古の石博物館」に贈られて展示されていて、「日本最古の石」の名には昔も今も偽りありません。
# 標本を提供した津和野町も広島大学も粋な計らい。

 さてこの博物館、展示の半分以上が先カンブリア時代(「日本最古の石」の20億年前の年代)の地質に焦点を充てていて、しかも解説が丁寧。
 先カンブリア時代の地層は日本にほとんど残っていないこともあってか、地質の本でもサラッと流されがちな時代。ですから初めて知るところも多くて面白いのなんの。30分もあればひと通り見て回れると思っていたのですが、1時間半も見学していました。

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 さて地球最古の岩と地球最古の鉱物。
 岩と鉱物は握り飯に例えられます。岩が握り飯だとしたら、鉱物はご飯粒や鮭やワカメといった具材。ご飯粒といろんな具がぎゅっと集まって握り飯になりますし、いろんな鉱物が集まって岩になります。

 地球最古の鉱物は44億年前に出来たジルコンで、オーストラリアのジャックヒルズ礫岩に砂粒として含まれています。たぶん肉眼では判別できないのではないかなあ。
# 日本だと黒部市宇奈月地域の花崗岩から37.5億年前のジルコンが発見されたのが日本最古の鉱物。

 岩としてはカナダのアキャスタ片麻岩が40.3億年前のもので、これが地球最古の岩石。40.3億年前というのは花崗岩として生まれた年代。オーストラリアにせよカナダにせよ地殻変動をあまり受けてない陸地が残っているところです。

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 先カンブリア時代の生き物たち。
 みんな大好きストロマトライト。ストロマトライトはシアノバクテリアと降り積もった泥が積み重なって出来たもの。シアノバクテリアは地球上で最初に光合成で酸素を作り出す能力を獲得した微生物と考えられています。出現したのは35億年以上前で、20億年以上前の地層から多く見つかります。
# 現在もオーストラリアのシャーク湾に残っているのはNHK「地球大紀行」でおなじみ。

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 当時の海中には大量の鉄が溶け込んでいたのですが、そこに酸素が湧いてきたのですから、鉄は錆びて沈降して堆積します。こうして出来たのが縞状鉄鉱層で、その多くは26億年〜19億年前に形成されたそうです。現在地球で採掘されている鉄鉱石の90%遺構が縞状鉄鉱層。20億年以上前の遺産で鉄を使ってるのか私たち。

 海中の鉄を酸化させつくすと酸素は大気中に放出され、やがてオゾン層を形成します。紫外線を遮った環境が準備されたことが生物が地上へ進出する大きなステップになるのですが、それは別の話。
 細菌レベルの微生物の仕事なので長い長い時間がかかったのですが、惑星の環境を生物が変えてしまったというちょっとびっくりな歴史を持っている地球です。

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 最古の多細胞生物といわれるグリパニア・スピラリス。肉眼で分かるくらい大きかったのか。出現は21億年前。
 私たちが現在目にする生物の多くは酸素を利用して生きていますが、生物が誕生したのは酸素を作り出すシアノバクテリアが生まれるより前のこと。なんでもかんでも酸化してしまう酸素は当時の多くの生物にとって猛毒以外の何物でもありませんでした。酸素から身を守るために、DNAなどの遺伝物質を保護する膜を持つようになった(つまり細胞核が出来た)のが真核生物で、その先に多細胞生物が出てきます。

 そのうちエディアカラ生物群とかバーシェス生物群(アロマノカリスはここ)が出てきたりして、やがて古生代へ移っていきます。
# 化石の写真は撮ってなかった……

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 さくっと何億年前の石という話が何度も出てきますが、それは年代測定法あってこそ。名古屋大学で開発されたCHIME法が映像付きで紹介されています。
 名古屋大学には年代測定研究部があるのか。ていうか、元寇の弘安の役で沈んだ船の錨の石材を測定したのはこれだったのか。

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 そういえば苗木城のある苗木のペグマタイトが展示してありました。こんなんが出るなら鉱物博物館を建てちゃうよなあ。
 鉱物博物館の看板に気付いたのが苗木城から往復1時間歩いて帰ってきた後で、そこから片道43分というのでさすがにあきらめました。

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 さて七宗町の20億年前の石が見つかった場所にも行ってみます。こちらは河岸に降りる遊歩道が付いています。

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 礫岩のはずだけどチャートばっかり…と思ったら奥に礫岩が。

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 このあたりの礫はもしかしたら花崗片麻岩かもしれませんが、専門ではないので判断しきれません。地学の知識は高校地学止まりなので。

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 深緑色の水を湛えたきれいな峡谷でした。ここの下流に転がっている花崗片麻岩は、もしかすると20.5億年前の石かもしれないんだよなあ。
posted by ふくだ at 23:45| Comment(0) | 博物館や美術館
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