原作は辻村深月の同名小説。2020年のコロナ禍の時期の高校生・中学生を描いた作品で、元は新聞連載だったそうです。
たかが5年前なのに、その5年前の世界を覆い尽くした息の詰まる日常は、すでにすっかり遠くのものになっています。それでもきっかけがあればすぐに思い出せる今だからこそ、の作品。
そしてコロナ禍を生きる人々が縦糸なら、人を結びつける横糸が星空。みんなで星を眺めた経験のある人なら刺さりまくります。茨城で東京で長崎の五島で、それぞれの場所で始まり、つながる群像劇は、時代を超えても色あせないもの。
初回見た時は最初の5分で涙ぐんで126分中90分くらい泣いてました。
https://www.konohoshi-movie.jp/
自分が星好きというのは切り離して観ることができないのですけれども、望遠鏡で手動で天体を導入していく場面がほんと雰囲気出てて好き。観れば観るほど細かい描写に唸らされます。
映画の演出上、強調して描かれている見え方はあるのですが、基本的な天文描写はしっかりしているので個人的には納得できる範囲。満天の星は星が見えすぎですけど、一般の方がイメージする空いっぱいの星はあれくらいなんだよなあ。
劇中で出てくる自作の望遠鏡作りも手動の天体導入もだいたいやったことがあるので、それぞれの場面が「分かる分かるそうそうそんな感じ」。天体導入のスピードを競うコンテストがあるのですが、明石の街中でやったら上位に入る自信はあります。初心者相手に大人げないことをせずに審判やれと言われそうですが。
公開規模が小さく、上映館も少なかったのですが、仕事帰りに行ける映画館でかかっていたので、7月中に4回観ました。大写しになる星空はスクリーンで見てこそ映えるというもの。気に入った映画を2回見るというのはたまにあるのですが、3回以上というのは『この世界の片隅に』以来だったなあ。
4回目となると周りの人が次々と涙腺やられていくのを感じながら余裕かまして観てましたが、分かってても良いシーンは良い。
冒頭の天文部の合宿でスターキャッチ(天体の導入速度を競うやつ)をする場面は、筑波山から南へ続く稜線の朝日峠展望公園で撮られていて、あれは遠景が出たところで場所の見当が付きました。
実は子どもの頃、ハレー彗星を見に親に連れて行ってもらったのがあのあたり。風返峠から南へしばらく進んだ駐車場だったので、もしかすると同じ場所かもしれません。
もうひとつは電車の場面。車窓にチラと映る稜線が見覚えありまくりで「ん!?」と思ったのですが、モデルになった学校とは離れているので、まさか関東鉄道常総線で撮影していたとは思いませんでした。
主要人物の一人を演じている水沢林太郎さん(のスタッフ)のツイートに出ている写真が、実は私の母校の最寄り駅。
ここの駅前の学校の地学部で星空を見上げた高校生活でした。
年代的には作中の中高生より彼女ら彼らを見守る大人側なので、さすがに当時を思い返したりはしなかったのですが、映画の中の大人たちがまたいいんですよ。
兵庫県内での上映は7月末でいったん終わりますが、8月15日から阪急塚口の塚口サンサン劇場での上映が始まります。ご興味ある方はぜひ。
水戸二高,土浦三校で顧問として活躍した岡村先生のことが下敷きになっていますね。
空気望遠鏡の再現とか金属鏡の反射望遠鏡作り,木辺鏡の復活とか,昔からの星好きのツボにはまる,数々の活動。
そして,この映画で天文活動の中心に据えられていた「スターキャッチ」。
ある意味,「昭和の天文少年」が心躍る天文活動を,てんこ盛りで実現してくださる先生。
映画の本編の感想はふくださんにお任せするとして,星を見る喜び,星のことを伝えてゆくことの喜び,そして,それらの大切さについても,いろいろな思いを感じた映画でした。
天文関係者の考証や「リアルさ」の追及にも,注目でした。
「昭和の天文少年」と表現されてらっしゃいますが、自ら考えて身体を動かし、面白さを感じる経験は、時代が移っても変わらないものと思います。
星好きとしてほんと素敵な映画でした。