大阪歴史博物館の特別展「正倉院 THE SHOW」。
正倉院宝物の実物は一つも出ていないのですが、精密なレプリカや当時の製法まで再現して作成した復元模造、詳細なデジタル映像化の展示が並びます。
正倉院の成立から保存、そして未来への継承を軸にした展示は、実物の正倉院宝物では難しいもの。というのは正倉院の宝物は出庫できる期間が限られていて、遠方への移動も原則として行いません。テーマに沿って複数の宝物を陳列するのは、よほどのことがない限りは不可能。とにかく次代へ伝えるための保存が第一なのです。
# 「よほどのこと」は2019年の東京国立博物館の「正倉院の世界−皇室がまもり伝えた美−」など。
復元模造やレプリカなら取扱いの制限は緩いので、写真撮影も自由(フラッシュ不可など一般的な注意事項はあります)ですし、展示そのものも柔軟に組むことが出来ます。デジタルデータでは部屋の壁いっぱいに拡大した画像で細部を見たり、内部の様子を示すこともできます。
紺玉帯というベルト。紺玉は見るからにラピスラズリ。しかしいかに地学好きとはいえ、これを腰に巻いて出勤する勇気はない。どういう服に合うんだこのベルト。
香炉は傾いてもジンバルで炉の部分が水平を保つようになっています。球体ですからさもありなん。部屋に香りを漂わせるのではなく、炉の上に衣を載せて布に香りを移すような使い方をしたそうです。中の様子が分かるように上下分割で展示されていますが、これも実物では難しいでしょう。
瑠璃坏のレプリカ。これも正倉院宝物を代表する銘品です(今年の正倉院展に出る)。
台座は銀製で金メッキされていますが、当時と同じ方法で再現したそうです。待って当時と同じ方法ってヤバいやつでは……と思いながら作業工程の映像を見ていたら、水銀に金を溶かして塗ったあとで、加熱して水銀だけ蒸発させるアマルガム法。水銀蒸気が周囲に漂うヤバいやつです。実験室みたいな部屋で防毒マスク付けてやってました。そこまでして再現しているのにびっくりですが、再現模造ではなくレプリカ扱い。
今回の目玉の一つが蘭奢待の香りの再現(冒頭写真)。切り取るのに天皇の勅が必要という香木の銘品。
香りのビンは十数個用意されていて混み合うことなく楽しめました。香りは直感的にシナモンに近い印象ですがもう少し甘い感じ。
ちなみに展示されている蘭奢待のレプリカは大河ドラマの撮影で使われたものだそうです。信長が出てくる作品だから、『麒麟がくる』あたりかな。たしか蘭奢待の話があったような。
# 2025年の正倉院展で蘭奢待が出陳されることが発表されたので、会期後半の夏休みに入って混雑する前に見ておこうと思ったのでした。
音声ガイドはスマホでQRコードを読み込んで再生する方式で(追加料金不要)、イヤホンを持っていると気兼ねなく聞けるので持参をお勧め。
正倉院展に何度も行ってる人にも、いや行ってる人にこそ面白い展示だと思います。
2025年07月13日
大阪歴史博物館 特別展「正倉院 THE SHOW」
posted by ふくだ at 23:45| Comment(0)
| 博物館や美術館
この記事へのコメント
コメントを書く