2020年06月27日

松露饅頭のこと

 唐津の町中を歩いていて「松露饅頭」の看板を見かけました。
 松露饅頭……なんかどこかで聞いたことあるなぁ。なんだったっけ。

 ピンポン玉より一回り小さなサイズの、薄茶色の丸いまんじゅう。皮は薄く、中には甘さ控えめのこし餡が詰まった上品な味です。お土産にしようかと思ったのですが、日持ちはしないということなので、自分用にいちばん小さな6つ入りの包装を購入。
 本当はお茶と合わせるのがよいのでしょうが、ホテルで本を読みながら、コーヒー片手にうっかり平らげてしまいました。写真がないのはそういうことです。

 何かの本で読んだに違いないので、思い浮かんだのが宮脇俊三と司馬遼太郎。

 宮脇俊三は『時刻表2万キロ』に唐津線を乗りに行く話が掲載されています。以前に唐津を訪問した時、海産物に負けて途中下車して、唐津-西唐津の一区間だけ残してしまったのを、推理小説ばりに時刻表を駆使して乗り潰す話。私も福岡から唐津までは鉄道で来たので面白おかしく読んだのですが、松露饅頭は出てきません。

 続いて司馬遼太郎『街道をゆく 肥前の諸街道』。こちらは博多から平戸まで史跡巡りの旅で、元寇防塁を回り、名護屋城のそばを通り抜け、虹の松原から唐津城下へ入ります。何だか似たような場所を回っていますが、こちらに松露饅頭が出てきました。案内の方が唐津の銘菓ということで、閉店時間の間際に唐津に到着してお店に駆け込むエピソードが紹介されています。

 それにしても、宮脇俊三は1975年、司馬遼太郎は1976年か77年の旅で、1990年代に読んだ頃はさほどに昔の話とも思わなかったのですが、今となってはまもなく半世紀というほどの時間が経ち、文章から思いうかぶ景色と、実際に見てきた風景の差異に戸惑いすら感じます。

 元寇防塁は発掘調査が進みつつある段階で、名護屋城址はおそらく本格的な整備が始まる前。しかしながら名所旧跡よりも、移動の最中のちょっとした景色や人々の描写にこそ、時の流れがにじみ出てきます。

 食べれば消えてしまうお菓子が、今も変わらぬものなのが、何だか不思議な気がするのです。
posted by ふくだ at 23:49| Comment(0) | 地図と地理と遠出
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