2019年12月15日

広島城企画展「江戸時代の天文学」

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 広島城天守は戦後に再建された建物で、内部が歴史資料を展示する博物館になっています。ここで「江戸時代の天文学」をテーマにした企画展が行われるというので、行ってきました。

 江戸時代の天文学の大きな縦糸は渋川春海に始まる改暦事業で、これに麻田剛立に始まる民間からの天文学の隆盛や西洋天文学の受容、そして伊能忠敬の日本地図測量が横糸となって織りなされていきます。

 出展物の中では、伊能忠敬の測量の様子を描いた「浦島測量之図」が個人的にいちおし。地元の庄屋が絵師に描かせたものだそうで、昼間の測量、夜間の天測の様子が詳細に描き込まれています。実は忠敬、詳細な測量日誌は残しているのですが、測量の様子が具体的に分かる史料は少なく、数点の絵図が伝わるのみ。その中でも「浦島測量之図」は書籍にもよく登場する史料なのですが、呉のものとは知りませんでした。
 伊能忠敬関連の測量・天測機器は今に伝わっていますが、例えば糸を張って星の子午線通過を測る様子など、この絵図で観測の様子が分かったものもあるそうです。

 今回はよく知られている呉のものと別に、広島城が所蔵している「浦島測量之図」も並べて展示。紙の質が少し落ち、筆致も荒目のことから、呉のものの副本か下書きとして同じ絵師が製作したものではないかと考えられているそうです。広島城所蔵図の方のみにある書き込みもあり、比較研究すると面白そうです。

 最近の地方での江戸天文史の展示では恒例になりつつある、地元の天文関係者を掘り起こしてスポットを当てた展示もあり、頼春水(頼山陽の父)と伊能忠敬や麻田剛立の間の書簡や、忠敬に師事した方が作った絵図なども展示。

 暦関係の史料は大阪市立科学館からの出展も多く、個人的には久しぶりに再会したものもいくつか。あと明石市立天文科学館からも出展史料があったのはびっくり。広島まで来て関西の史料を見るのも不思議な感覚で、思わずニコニコしながら見ていました。

 企画展の図録がないのが残念で、広島城は過去の企画展でも気合の入った図録を作られているのです。せめて簡単なパンフレットでもあれば。

 この企画展、会期中の日・祝には学芸員による展示解説があり、私もこれに参加しました。15分ほどの限られた時間ながら、広島に関わりの深い部分を中心にお話頂けるので、時間が合えばおすすめです。というより、時間を合わせて見学するとよいと思います。
posted by ふくだ at 23:49| Comment(0) | 博物館や美術館
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