2019年10月25日

東京国立博物館「正倉院の世界」展

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 東京国立博物館「正倉院の世界」展を見に来ました。
 たまたま開館直前に着いてしまったので、開館待ちの列に当たってしまいました。上野は朝から豪雨。傘をさしても濡れますし、ささないと10秒でずぶ濡れです。
 とはいえ平日ということもあり、中に入ってしまえばゆっくり見ることができました。

20191025tokyo006.jpg 今回の目玉出展物は螺鈿紫檀五弦琵琶(写真は撮影可の明治の複製品)。検索したところ2010年の正倉院展に出展されて以来9年ぶりに人前に出ることになります。超絶な細工に息を飲むばかり。初見なのでこれだけでも来た甲斐ありました。
 展示の各所に解説映像が流されているのですが、螺鈿紫檀五絃琵琶のコーナーでは複製品の作成に挑む技の凄さに圧倒されます。会場に複製品の琵琶の音が流れているのも素敵な趣向。
# 正倉院宝物に関しては、すでにこれまでの奈良国博の正倉院展で見たものもあり、今回は螺鈿紫檀五絃琵琶だけ集中的に見ました。

 今回の「正倉院の世界」展は、所々にモニターに解説映像が流れていますが、いずれも必見。初見の印象もよいのですが、どのような職人が関わり、どのような工程を経て形作られていくのかを知ってみると、また違う視点で見ることが出来ます。1分半から長くても6分くらいですから、そこは時間を惜しまずに見ていきます。

 中でも正倉院宝物の塵芥の分類作業の紹介が圧巻。
 正倉院宝物は長い年月の間に劣化して原型をとどめていないもの―つまりは糸くずや木片や金属片に成り果てているものもあるのですが、それらも廃棄せずに「塵芥」として保存されています。塵芥とは、つまりはゴミなのですけれども。
 箱にまとめていれある塵芥を、糸一本塵一粒見逃さず、ピンセットでつまみ上げながら分類していきます。その中から既存の宝物の復元につながる発見もあったりするそうで、それにしても地道な作業の凄まじさに圧倒されました。

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 こちらも写真撮影可のコーナーから「勅封」の展示。
 正倉院の錠前に紐で封をするのですが、天皇の親書ぐるぐる巻きにくくりつけています。開封時は勅使が紐を切って、親書が無事なことを確かめるそうです。現在の空調完備の鉄筋コンクリートの蔵になっても続いている習わし。

 正倉院宝物は光明皇后が聖武天皇の遺品を東大寺に奉献したものが元になっています。このため寺の宝物でありながら、蔵は勅封とされ、開封には天皇の許可が必要という扱いを受けていました。明治以降は宮内庁の管轄になりましたが現在もこの慣習は続いていて、正倉院展の前には勅使が派遣されています。正確には年に一度の宝物の点検と虫干しの開封のための勅使で、正倉院展はそれに合わせて一部の宝物を展示しているのですけれども。

 さて今回の展示では東京国立博物館所蔵の法隆寺献納宝物も展示されています。
 神仏分離・廃仏毀釈の後、奈良の寺院は経済的な後ろ盾を失って困窮するのですが、その際に法隆寺が皇室に献上したものです。第二次大戦後に東京国立博物館に移され、現在は同館の法隆寺宝物館で展示されています。旧館時代は週一木曜日のみの公開でしたが、新しい館になって通年展示となりました。
 皇室にまとめて寄贈したことで散逸が防がれたとも言えますが、そもそもの明治政府の政策があかんかったのでは……というのはさておき、奈良時代中心の正倉院宝物に比べて、さらに古い飛鳥時代の宝物がまとまって残っているのは、こちらも壮観です。
 奈良の秋の風物詩になっている正倉院展に比べると、東京で常設展になっているので注目される機会は少ないのですが、ぜひぜひおすすめです。
posted by ふくだ at 23:45| Comment(0) | 博物館や美術館
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