2019年09月01日

妖精の森ガラス美術館

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 日本では唯一、世界でも珍しいウランガラス専門の美術館。
 ウランガラスはガラスに少量のウランを添加したもので、淡い黄色から黄緑色の色ガラスです。紫外線を当てると緑色の蛍光を発するので、日用品からアクセサリーまで様々な工芸品が生産されました。

 ウラン自体は18世紀後半に発見された元素で、放射能を有することが分かったのは19世紀末。それ以前からウランの化合物は着色料として利用されていました。古くはローマ時代のガラスにも使用例があるそうですが、広く生産が行われたのは19世紀半ば、日本の時代区分なら幕末の頃からです。
 日本でも戦前にウランガラスの製造が行われており、かき氷の器や醤油差しなど身近な日用品として使われていました。国内でウラン鉱が見つかる前なので、原料のウランは輸入品でした。

 状況が一変するのは第二次世界大戦。ウランは核兵器の原料として注目され、アメリカを始めとする各国で非軍事目的でのウランの利用が禁じられたのです。ウランガラスの製造は途絶え、戦後もウランの利用は厳しく制限され続けます。

 その後1990年代からチェコとアメリカで細々と生産が再開され、日本では2003年に人形峠の麓の上齋原村(現:鏡野町)で、人形峠の国産ウランを使用したウランガラスが開発されます。地域ならではの産物として目の付け所が鋭いです。

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 美術館は2006年のオープン。
 展示室はアンティークなウランガラス製品を中心とした常設展と、期間ごとに作家の作品を入れ替える特別展。特別展ではウランガラスを使った作品も展示されています。
 展示の一部は通常の照明とブラックライトを切り替える仕掛けがついています。また通常照明に合わせて紫外線を照射している展示もあり、それぞれウランガラスの緑色の蛍光を楽しめます。
 紫外線のペンライトを貸してくれるので、通常の照明の展示でも、蛍光の様子を確認することができます。

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 美術館には工房が併設されていて、2階から見学できます。ガラス吹きやサンドブラストやリューターの体験もできて、時間があればやりたかった!
 ここでは人形峠で採掘されたウランを用いたウランガラスを作っています。国産のウランガラスを作っているのはここだけ(そりゃそうだ)。年間で扱う量は数百グラムとのこと。ウランを扱う時は人形峠の原研から有資格者を呼ぶそうです。ちなみにウランの含有率は0.1%ほど。

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 企画展に展示されていた「宇宙」という作品。写真だとうまく表現できないのですけど、これがきれいなのでした。
 もう1枚は蒸気機関車のヘッドライト。反射鏡の部分がウランガラスになっています。蛍光よりも黄色い色で短波長側の光をカットし、黄色みのある光を照射する目的で用いたそうです。

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 併設のショップにはウランガラスの作品がたくさん。これを見てるだけでも楽しいところです。
 コップなど大きく凝ったものはそれなりですけど、手元に置いておくような小物なら千円台からあるので、手が届かんことはないです。何より国産のウランを合法的に入手して手元における貴重な機会(待て)。
 一輪挿しとペーパーウェイトをお迎えしたのですが、いつものカッターマットが背景では味気ないと、白い紙を敷いて写真を撮ったら、紙にも蛍光剤が入っていて、わけのわからない写真になりました。

 ちょろっと覗いて帰るつもりだったのが、うっかり一時間も滞在してしまい、後の予定が大きく狂うことになったのでした。
posted by ふくだ at 23:50| Comment(2) | 博物館や美術館
この記事へのコメント
昔、光学ガラスにランタンガラスが使われていましたね。
Posted by なかを at 2019年09月07日 21:34
ビクセンのLVアイピースがランタン系の光学ガラスを使っていたと記憶しています。

トリウムガラスがガンマ線を出していて(30cmも離れればバックグラウンドの自然放射線に埋もれる程度ですが)、名古屋市科学館の放射線の展示にも使われています。
http://uranglass.gooside.com/atomlense/atomlense.htm
Posted by ふくだ at 2019年09月09日 01:27
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