2019年08月11日

テレコンビノ「宙ガールの双眼鏡」

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 「テレコンビノ」は、カメラレンズの焦点距離を伸ばす補正レンズの「テレコンバーター」を2つ並べてつくったビノキュラー(双眼鏡)です。
 笠井トレーディングの「ワイドビノ」を代表とする広視界低倍率のガリレオ式望遠鏡で、多くの星座の主要部分がまるごと見える広い視野と、肉眼よりも1〜2等級は暗い星が見える集光力で「肉眼をドーピングしたような」眺めを楽しめるというものです。

 「宙ガールの双眼鏡」は久万高原天体観測館の藤田さんが自作されたもの。同館で行われている女性天文ファン向けのイベントで使われることからこの名がついています。私の手元にあるのはニコンのコンパクトデジカメ用テレコンTC-E2を2つ並べたもの。よりリーズナブルなケンコーのテレコンを並べたものもあります(こちらはレンズの入手が難しくなってしまったそう)。

 2018年5月に同館を訪問した際、これを覗かせて頂いて、素晴らしい見え具合に感動。その場で制作をお願いしたのでした。

 それがこのほど到着。9日の未明に早起きしてしまったので、早速、実際の空でテストです。
 4等星がギリギリ見える空で(神戸ではまずまず上等)、5等台前半の星まで見えました。たかが1等級のようですが、見える星の数は倍以上になります。
 倍率は公称2倍ですが、星空の見え方は等倍感覚。視野はペガススの四辺形が余裕で収まる広さ(オリオン座の主要部分も入るはず)。最微等級が上がるのと視野の広さで、街中でも星座が面白いようにたどれます。

 ヒアデス星団がとてもきれいに見えてびっくりでしたが、すばるやアンドロメダ銀河は意外にふつうな印象。暗い星が見えるようになっても、解像度は肉眼の見え方なので、星雲星団よりも星野を楽しむための機材なのです。それが楽しくて、テストのつもりが、気がついたら30分くらい空を見上げてました。



 先に書いたとおり広視界低倍率の双眼鏡は笠井トレーディングのワイドビノが嚆矢となりました。
 その後、テレコンがワイドビノと似た特性を持つことに気付いた方が、テレコンを2つ並べた自作双眼鏡を製作します。これがよく見えることから、自作望遠鏡界隈でテレコンビノが流行したことがありました。2008年頃の話ですが、当時は高級コンデジが一眼デジカメに移行しつつある時期で、コンデジ用のテレコンが安く(時には投げ売り的に)市場に出回ったことも流行を後押ししました。

 その後、格安で入手できるコンデジ用のテレコンが払拭し、現在、主に使われてるのはニコンのTC-E2という製品です。高級コンデジとして名を馳せたクールピクス900系用に製造されたもので、見え味には定評がありますが、お値段も1本5000円程度が相場で(2019年8月現在)、2本揃えると1万円を超える価格帯になってきます。

 ニコンTC-E2のテレコンビノで特筆すべき点は、アイポイントの長さと瞳位置の許容範囲の広さ。
 例えば笠井のワイドビノはアイポイントが短く、目を覗き口に密着させないと視野を見渡せません。メガネ使用は不可で、近視や遠視はピントを合わせればよいのですが、乱視の場合はどうにもなりません。
 この点、ニコンTC-E2のテレコンビノはメガネを掛けたまま覗いても視野の大部分を見ることが出来ます。パッと見だと裸眼とメガネ使用時でほとんど視野が変わりません。よく見比べると裸眼を接眼部に押し付けたほうが若干、視野が広くなるのですが、最外周の像がさほど良くない部分でもあり、あまり差を感じません。
# ピント調節機構がないので、その点でも視力矯正の必要な人はメガネやコンタクトレンズなどを使うのが前提です。

 またニコンTC-E2は対物セルの直径が63mmあり、このため目幅も最短で63mm固定になってしまいます。ほとんどの方は目幅が合わないはずですが、瞳位置がずれても難なく見ることが出来ます。左右の視野はずれ、ダルマ型を横にしたような視野になりますが、星空での実使用では意外に気になりません。
 像も概ね平坦で、中心像はワイドビノの方がシャープですが、周辺部はTC-E2の方が優れています。

 総じてワイドビノより覗きやすく、特にメガネ使用者にとっては広視界低倍率双眼鏡の貴重な選択肢となります。
 一方で目幅調整機構やピント調節機構がないので、見え味が良いといえども、光学機器メーカーがこれをそのまま売り出すには躊躇せざるを得ないと思います。

 ちなみに2019年8月現在、市販されている広視界低倍率の双眼鏡は以下の5種。
笠井トレーディング ワイドビノ28  16,200円(税込)
笠井トレーディング CS-BINO2×40 9,720円(税込)
ビクセン SG2.1X42 実売2万円台前半
スコープテック/日の出光学 星座望遠鏡/双眼鏡セット 13,800円(送料税込)
サイトロン 星空観測用 オペラグラス Stella Scan 2X40 B400 13,500円(税込)

 いずれも1万円から2万円という価格帯で、大口径レンズの低倍率広視界のガリレオ式望遠鏡を並べるコンセプトは共通。ただメガネ着用時の視野は制限される製品もあり、検討される際は実物を覗いてみることを強くおすすめします。
posted by ふくだ at 23:45| Comment(0) | 機材
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