2013年12月14日

ナノ・トラッカー赤道儀

 サイトロンから発売されているポータブル赤道儀「ナノ・トラッカー」。発売から間もない時期に購入して使っています。BORGのアングルプレートも同時購入。
 自宅の近所では30秒も露出すると空が光害で白く飛んでしまうので、長い露出はかけられません。30秒程度なら極軸を大まかに北に合わせる程度で、広角レンズなら星が点に写ってくれます(標準の画角では撮ったことがありません)。あとはミニボーグ鏡筒を載せて10秒程度の追尾もしていますが、これは想定外の使い方。

 極軸合わせは本体の覗き穴に北極星を導入する方法ですが、これが覗きにくい。加えて自宅近辺ではそもそも北極星が見えにくい空なので(須磨区・西区のニュータウンがあるので北天の光害がひどい)、結局この方法での極軸合わせはほとんど行っていません。長時間露出できない空ということもあって、結果的におおまかな極軸合わせでなんとかなっている状況です。
# アイベルからショップオリジナルの極軸望遠鏡が販売されています。荷物は増えますが、そこそこの精度の極軸合わせを楽に実現できるのは良いかも。

 他に気になる点は、ギアの遊びが大きいのか雲台を載せる回転台に若干のガタがあります(きちんと測定していませんが角度にして1〜2度くらい)。子午線をまたぐような長時間露出はしないので、通常の使用上は問題ないのですが、望遠レンズで構図を決めるときには難儀します。何度も書くように望遠レンズの使用は想定外ですけれども。
 ナノ・トラッカーの追尾精度は「ほどほど」です。
 上の写真は、2012年のふたご座流星群の際に、15秒露出を63枚重ねたものです。実露光時間は15分間ですが、コマ間のインターバルがあるので撮影時間は33分間です。壮大に南北に流れていますが、これは極軸を合わせ切れていなかったためで、赤道儀のせいではありません。
 右側は中央部を等倍で切り出したもの。単に極軸が合っていないだけなら星の軌跡は南北に一直線にズレますが、写真ではS字を裏返したような形にふらついています。つまり33分の間に追尾速度が早くなったり遅くなったりしているということで、これが追尾のエラーになります。

 切り出した画像はオリオン座の三つ星付近です。左のζ星と中央ε星の離角は1.36度角。これから読み取ると、カーブの幅は5分角になります。つまり、約30分間で±2.5分角の追尾エラーが発生しているということ。月の直径が30分角ですから、その1/10弱です。

 一般的な赤道儀の追尾エラーは数十秒角程度なので、一桁精度が落ちますが、そもそも広角〜標準レンズを対象にしていることと、追尾エラーの周期が長いことから数分間程度の露出では影響を受けにくく、これでもなんとかなっているのでしょう。
# とはいえ5分間も露出するのは厳しいかもしれません。30秒間から1、2分間程度が限度かも。

 想定外に望遠レンズとしてミニボーグを載せたところ。
 左写真はミニボーグ60ED+BORG片持ち式赤道儀。追尾はしますが、振動が大きく、撮影も眼視も実用的ではありません。
 右写真はミニボーグ50+ライカ自由雲台。見た目のバランスが良くないのですが、10秒程度の追尾はOK。ただ前述の回転台のガタのために、構図合わせは難渋します。

 代替手段がなければこうした使い方も可能ですが、積極的におすすめしません。歩留まりは悪いし構図合わせは面倒だし、手間がかかります。望遠系のレンズを使うのであればポータブル赤道儀でない普通の赤道儀を使うべきです。
 ・ミニボーグ50+ナノ・トラッカーでガイド撮影(2012.12.12)
 ・ラブジョイ彗星(C/2013 R1)(2013.11.23)
 長時間露出が必須だったフィルム時代には考えられないことですが、それでも「そこそこ」撮れるので、やむを得ない時は試してみるのもありかもです。
posted by ふくだ at 23:46| Comment(8) | 機材
この記事へのコメント
みみっちい話ですが、

私は、この写真とは上下を逆無期にして使っています。

照準の位置が上に来たほうが良いようなので。


もっとも、水準器と方位磁針で極軸を決めたほうが、照準よりも正確なことが多いのですが。
Posted by なかを at 2013年12月15日 06:51
ポラリエとナノトラッカー、どっちかを買おうとしているんですが、どちらがオススメですかね?
Posted by つかだ at 2013年12月15日 10:38
なかをさん>

サイトロンのサイトでも、コントローラーのケーブルのコネクタ部を上にして使ってる写真が掲載されてますね。
http://www.sightron.co.jp/sightron/sightron_products20/

私はケーブルの根元に負荷をかけっぱなしになるのが不安なので、本文のような使い方をしています(照準の覗き穴は使うの諦めました)。でも実はコネクタ部を上にするのがメーカー推奨とか!?

あの覗き穴の照準なら、水準器と方位磁針のほうが極軸を決めやすそうです。記事中のピリオディックモーションを撮ってしまった写真も、本当は比較明合成をするつもりで頑張って覗き穴で極軸を合わせたつもりで、あの始末でした。
Posted by ふくだ at 2013年12月15日 11:04
つかださん>

財布が許せばポラリエのほうがお勧めです。

ポラリエは店頭で触ったことしかないのですが、雲台を載せる回転台のガタがありません。ポラリエのほうが値段分、つくりが良いように思います。

ナノ・トラッカーを分解したブログ記事
http://kumikomi.asablo.jp/blog/2012/08/02/6548118

CP+ 2013に出品されていたポラリエのスケルトンモデル
http://wide-angle.cocolog-tcom.com/blog/2013/02/cp-2013-vixen-3.html

これを見る限りでは、ナノ・トラッカーは一部に樹脂製のギアを使っているのに対し、ポラリエは(このモデルのとおりに作っているとして)駆動系は金属製のギアでまとめています。
# 振動を吸収させるためにあえて樹脂製のギアにしてるとかあるのでしょうか。

ポラリエのほうがオプションパーツも充実しているのですが、極軸望遠鏡の使い勝手がよくなさそうなのと、オプションを買い足しているうちにGP2ガイドパックが買える値段になりそうなのが微妙なところです(^_^;

電池の持ちは、公称でナノ・トラッカーが単3形3本で5時間、ポラリエが単3形2本で2時間ですが、ポラリエはminiUSB端子の給電でスマホ用のバッテリーなど外部電源が使えます(現在一般的なmicroUSBでないのが惜しいですがケーブルを別途用意すればOK)。

ナノ・トラッカーはとにかく安価に追尾撮影をしたい時や、公共交通機関移動や登山時など少しでも荷物を減らしたい時に優位かもしれません。ポラリエの3万円代後半というのは、マニアはほどほどの値段でも、入門者には勇気のいる値段ですから、ナノ・トラッカーもとりあえずの一台としてはありだと思います。でも財布に余裕があればポラリエのほうが(以下、最初に戻る)。

ナノ・トラッカーの追尾精度については鹿角平天文台さんのブログでも言及があります。
http://kanotuno.at.webry.info/201207/article_5.html
「広角/28mmで約2分。標準/50mmで約1分」というのは私の実感とも同じです。
# 私の記事よりずっと詳細な検証をされてます。先に読んでおけばよかった(汗)
Posted by ふくだ at 2013年12月15日 11:51
ありがとうございます。
ポラリエにしようかと思います(笑)

そして、いま記事を見たら魅力的な自由雲台の記述が…!
お金が…!(笑)
Posted by つかだ at 2013年12月17日 23:31
ライカの自由雲台は、ヤフオクだと1万円台前半で出てます。ただ現物を確認できないのはちょっと怖いですね。

国産だと梅本製作所の自由雲台が高評価をしているレビューを読んだことがあるのですが、身近に使っている人がいないのです。
http://umemoto.ecnet.jp/

良い雲台はストレスなく使えるのがいいですね←買ったからこその物言い(^_^)
Posted by ふくだ at 2013年12月18日 00:53
現在,ナノ・トラッカーにBORGのアングルプレートとSLIKの自由雲台を組み合わせて運用しています。

…がしかし,搭載するカメラが小さくないと,けっこう死角が発生します。
北極近くや南天の低空などはダメです。

やはり実売5000円ぐらいの雲台では,足元のスペースに余裕がありません。

このところ寒いので,電池の持ちも厳しい。
けっこう電圧にうるさいようで,ニッケル水素電池だと初期電圧が低くて,ちょっと厳しい。
スペアのアルカリ電池を防寒着のポケットに入れて持っています。
さらに,バッテリーケースを使い捨てカイロと一緒に小さな袋に入れて,急場をしのいでいます。

しぶんぎ群の流星を撮影するなら,途中で電池交換しなければならない。

意外と電池代が高くつくなぁ……
Posted by なかを at 2013年12月28日 16:53
私もエネループを入れてみたことがありますが、充電直後でもすぐに動かなくなってしまうので、結局、100均のアルカリ電池を使っています。

ボーグのサイトではエネループプロが使えそうなことが書いてありますが、
http://www.tomytec.co.jp/borg/products/partsDetail/summary/487
エネループもエネループプロも1.2V強あたりの電圧を出す傾向は変わらないようなので、
http://m.kaden.watch.impress.co.jp/docs/column_review/kdnreview/20110725_462169.html
ナノトラッカーのためだけにエネループプロを買い足すのはちょっと気が引けています。
Posted by ふくだ at 2014年01月01日 22:16
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