「水月年縞2025記念講演会」ということで、水月年縞プロジェクトのリーダー中川毅先生と年代学者の大森貴之先生の講演会。
おそらく地元では何度もこうしたアウトリーチの機会を設けてこられてきたのか、聴衆も近隣の方が多いようで、アットホームでざっくばらんな雰囲気。
前半の中川先生は、水月湖の年縞掘削の歴史を振り返ります。
2025年の掘削にまつわるエピソード。掘削やぐらも大きくなり、パイプの設置方法も工夫して作業もさらに効率化。水月湖の年縞自体が地元に浸透してきて、掘削を始める前に式を開いたり、掘削中は遊覧船がやぐらの周りを巡っていったり(この日の午前中に遊覧船で聞いた話だ)。
科学者を料理人に例え、素材がよくないと美味しい料理が出来ないということで、料理人(コアを分析して論文を書く)よりも、よりよい素材の魚を捕ってくる漁師(コアを掘削する)の仕事ばかりしてきた、と。出発点の素材がよくないといかに後の分析を頑張ってもよい成果が得られない。素材を得るところに手間暇をかけない研究者が増えてきている最近の流れは残念。
というようなところが印象に残っているのですが、ステージの手前に並んだ謎の機械は何なんだ!?
そんな中で漁師役を担う「期待の若手でライバル」と紹介されたのが大森貴之先生。
「今の所属が東大なので言っても分かってもらえないんですけど、頭はそんなにいい方ではなくて、でも工作は子どもの頃から大好きで誰にも負けなかった」「手先が器用な人は自分が器用だって分かってるんです」って何の話が始まるんだ。
研究、とくにコアの分析では、水月湖の年縞から回収した植物の年代測定の誤差を少なくする話。放射性炭素年代測定は5万年前までの年代を測れるのですが、測定限界に近付くほどC14の量が減るので、誤差の幅が大きくなります。「器用な私ならもっとうまく測れるのでは(意訳)」と挑んだら、最初は既に公表されているデータに全く及ばないひどい測定値で、奮起して研究室のメンバーと議論を重ねながら測定方法を改良して、驚きの精度を達成し、論文をまとめている最中だそう。ちらっと測定値のスライドを紹介されたのですが、パッと見でエラーバーが分からないくらい。
水月湖の年縞が放射性炭素年代測定の基準に採用されてから10年以上経つのですが、まだ精度の向上に挑んでいるのも驚きですし、そしてそれを実現しつつあるのも驚きです。
ステージの前に置かれた長机には次々にいろいろなものが運び込まれ、休憩時間には2025年掘削で掘り出したコアから採取した5万年前の葉っぱが出てきました。
「シャカシャカ振ったりしなければ手に取っていいですよ」とのことで間近に見ましたが、昨日うらの林で拾ってきたと言っても通じそうな新鮮さというか残存度のよさ。
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